開戦〜
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んであげて欲しいって聞かなくて・・・」
「無茶だ・・・」
ガイが呟く。
「いいんです。もちろん私も死ぬつもりはありませんけれど。ただ、私は主人も子供も亡くしてしまいましたから・・・」
「戦争のせいですか?」
「ミリアムさんの旦那さんはアクゼリュスで働いていたそうだよ」
『っ!?』
「丁度、息子が主人に会いたいとあの街に滞在している時に消滅事件が起きて・・・」
「お気の毒です。ですが、それならなおのこと、あなたは生き延びなければなりませんね」
「はい・・・」
「サキ、確かあなたは治癒術が使えましたよね」
「あ、ああ」
ジェイドが俺の近くに近寄り、耳打ちする。
「(余計なことは言わないように。・・・今は真実を伏せてください)」
「(・・・わかってるよ)」
ここで余計な混乱を招けば、大惨事に繋がる恐れがある。・・・俺はモヤモヤした気持ちを胸に抱きながら、ミリアムさんを治療し・・・その翌日。
「昨日はありがとうございました」
「あなたは・・・」
「お陰さまで足の調子がよくて、今日は無理なく歩けましたわ・・・あら、糸がほつれて・・・」
ミリアムさんがガイに近寄る・・・当然、
「う、うわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
「あ!?す、すみません・・・」
「・・・あの・・・私、何か不愉快なことをしてしまいましたか?」
「い、いえ、違うんです。ただ・・・俺が・・・」
「あの・・・顔色が悪いですが・・・」
ガイが頭を抑える。
「・・・なんだ?何かを思い出しそうなのに・・・」
ガイが何かを呟く。・・・隣にいたせいで単語が聞こえてきた。・・・死臭、悲鳴、隠れている。・・・と。
「すみません。彼も疲れているのでしょう。お怪我はありませんか?」
「え・・・ええ。なんだか申し訳ありませんでしたわ」
「・・・いえ。私の方こそ、ご婦人を傷つけてしまうとは、自分が情けないです。本当に失礼致しました」
ガイが様になってるポーズで謝罪する。
「あら・・・おかしい人。まるでどこかの貴族みたいだわ」
「・・・そ、そうですね。すいません」
まさか、貴族です♪なんて言える訳がないだろう。ミリアムさんはそのまま立ち去る。
「ガイ、大丈夫?」
アニスが聞く。
「・・・ああ。だけど、どうしてこんなにびびってるんだろう」
「ここが戦場だからかもしれませんね。とにかく少し休みなさい」
「・・・そうさせてもらうよ。すまないな」
ガイも俺たちから離れる。
「平気なのか?」
黒羽が俺に聞いてくる。
「んー・・・どうも、ただの女性恐怖症に思えなくなってきたんだよな
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