暁 〜小説投稿サイト〜
真似と開閉と世界旅行
開戦〜
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「ここが今日の夜営地点か」

黒羽がそう言うとジェイドが言う。

「まあ、今日は上出来でしたね。敵と遭遇しませんでしたから」

「明日もこの調子ならなぁ・・・ちなみに、どれ位まで来たんだ?」

俺はジェイドに尋ねる。

「まだ半分にも満たないですよ」

・・・その時、エンゲープの男性がやって来る。

「あの・・・そちらの軍人さんはタルタロスに乗っていたそうですね」

「ええ。タルタロスを指揮していました。何かありましたか?」

「乗組員にマルコという兵士はおりませんでしたか?」

先に反応したのはアニスだ。

「マルコって大佐の副官さんでしたよねぇ」

「副官!そうですか!マルコはそんな出世を!あいつは私らの自慢の息子なんです!かかあも喜ぶぞ!」

その言葉にアニスはうつ向く。

「だけど・・・」

「それで、あいつは今どうしてますでしょうか?この戦いだ。前線に出兵させられたなんてこともあるんでしょうか」

口を開かなくなったアニスに代わり、ジェイドが口を開く。

「お父様には気の毒ですが、息子さんは敵の襲撃を受け、戦死なさいました」

「い、いつ!?いつですか!この間タルタロスがエンゲープに来た時は、あいつも元気で・・・!」

「その後です。導師を狙う不逞の輩に襲われ、名誉の戦死を遂げられました」

「すみません。僕の力が及ばず・・・」

「・・・そうでしたか。マルコは導師イオンを御守りして・・・マルコが産まれた時、ローレライ教団の預言士様に言われたんです。この子はいずれ高貴なお方の力になるって。だから軍人になるように言われて・・・」

また・・・預言か・・・男性は顔を歪め、去っていく。

「・・・馬鹿野郎め。いくら立派なことをしても、親より先に死んじまうとは・・・!」

「・・・平気か?」

黒羽がジェイドに聞く。

「持ち上げられるのも罵倒されるのも親に泣かれることも、軍人としてはよくあることです。お気になさらず」

「・・・」

俺は黙っていた。・・・当然ジェイドが言う。

「サキ、見知らぬ兵に同情しても、彼が帰ってくる訳ではありません」

「・・・言われなくても、そんなこと、とっくにわかってる・・・」


「・・・そうですね」



その次の日も敵に見つからずに進めた。

「やっと半分を越えましたね」

二人組の男女がやってくる。

「すいません。こちらに治癒術士か、或いは傷薬の予備はありませんでしょうか?」

「負傷者ですか?」

「いえ・・・私が足を痛めてしまって・・・」

ふと気づく。女性もできる限りはアルビオールに乗せるよう勧告した筈だ。

「ミリアムさん、自分はいいから他の人を運
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