強化〜
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「・・・」
「・・・それに俺は・・・」
「咲さん?」
「ずっと誰かを傷つけてたんだ・・・撫子を守れて・・・よかった・・・」
撫子にだけは手を届かせることができた。それはとても嬉しいことなんだ・・・
「ですが・・・」
「本人が気にすんなって言ってるんだよ。あんまりしつこいと怒るぜ?」
「・・・」
撫子が黙る。・・・と、その時・・・
カシャアン!
何か大きい音がする。
「さ、き・・・」
愛依が手に持っていた何かの皿を落とし、歩み寄って・・・手を振り上げる。
「(あ、叩かれる)」
何故かそう思った次の瞬間、頬に衝撃が走った。
「・・・ってぇ・・・」
「無茶すんなって言ったろ!」
「別に無茶じゃ・・・」
「言い訳すんな!」
「う・・・」
「アタシは嘘つく奴、嫌いだ!」
「・・・!」
『恋は嘘つく人、嫌い』
そう言われた記憶が呼び覚まされる。・・・あの時は・・・焔耶を助けようとして・・・
「・・・」
「あ・・・ち、違・・・本気で咲が嫌いなんじゃなくて・・・ただ勢いで・・・いや、アタシも人のこと言えないし・・・」
過去の思い出を思い返していた俺を、ショックを受けていると勘違いした愛依があわあわしながら何か呟いている。・・・今度は順番は間違えない。
「ごめん」
愛依に向かって頭を下げる。
「俺が悪かった。一人で残ったのが浅はかだったよ。・・・本当に、ごめん」
「え、あ、いや、い、いいよ!そ、そんなに頭を下げないで・・・」
・・・あれ、順番間違えなかったんになんか失敗した?
「お前はメリハリがないんだよ」
「黒羽?」
黒羽が部屋に入ってくる。
「身体、平気なのか?」
その言葉に思わず固まってしまう。・・・そして、それは俺にある決意をさせる。
「手を貸してくれないか?」
そう言って俺は広場に出る。
「・・・何をするんだ?」
「身体を咲・・・いや、それ以上の状態にする」
「・・・どういう意味ですか?」
「闇を侵食させるのさ」
その言葉に真っ先に反対したのは愛依だ。
「そんなのダメだ!」
「愛依・・・」
「ダメに決まってるだろ!そんなの・・・失敗したら・・・」
「呑まれるだろうな、間違いなく」
「そんな簡単に・・・!」
「簡単じゃない」
愛依を見る。
「この先何度も傷つくことはある。・・・その時」
自分の身体に手を当てる。
「すぐ回復しなきゃ先に進めない。・・・助けられないんだ」
俺は空間から方天画戟を取り出し、地面に突き刺す。
『咲さん・・・』
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