雪降る街〜
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て宿代を稼いでいたんです」
「そうだったのか。まったく、ビックリ・・・愛依?」
振り向くと、愛依は両手で両腕を掴んでガタガタと震えていた。
「わ、わた・・・う、あ・・・」
・・・そうだ。愛依はこの二人とユエを消し、更にそれによって増長したシィの闇を奪ったんだっけか・・・
「・・・悪い、少し表に出れないか?」
「・・・わかりました」
「・・・ああ、もうすぐ休憩時間になるから、先に行っててくれ」
・・・俺達は外に出るが、愛依は変わらず震えていた。・・・寒いからではなく、恐怖と罪悪感で、だ。
「お待たせしました」
「ああ、悪いな」
「・・・ッ!」
愛依がゆっくり立ち上がり、撫子達を見る。
「ハッ、ハッ、フッ・・・」
胸元を抑え、過呼吸気味になりながらもしっかりと相手を見る。・・・そして・・・
「ご・・・ごめ・・・ごめんな、さい!」
・・・謝罪を口にした。・・・いくらガイの言葉で多少マシになったとは言え、その恨みを持たれる“ご本人”を見たのであれば、そういうわけにはいかない。
「わた、し・・・浅はかで・・・考えてなくて・・・傷、傷つけて・・・う、うぁ・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
遂には言葉が出なくなり、ただごめんなさいと言い続ける。・・・俺はこれ以上見ていられなくなり、愛依に話しかけようとしたら・・・先に黒羽が何かを渡した。
「ほら」
「え・・・」
それは魔法瓶だった。何かの飲み物のようだが・・・
「寒いだろ?俺が作った特製スープだ。暖まるぞ」
「どう、して・・・」
「別にあの時の事は気にしていない。・・・やられた俺達も俺達だからな」
「・・・で、でも」
「いいんです。こちらは許してるんですから」
「そ、それじゃあこっちの気が・・・」
すると黒羽がため息を吐く。
「・・・んじゃ、目ぇ閉じてくれ」
「・・・!」
愛依はそれを聞いて身体を強張らせながら目を閉じる。そして黒羽は手を上げ・・・
「・・・そら」
・・・愛依の額にデコピンをした。
パチン
「あた!?・・・え!?」
殴られると思っていたのか、愛依は唖然としていた。
「これであの時のはチャラな。・・・あ、撫子の分もあるか。・・・撫子」
「はい」
再び愛依の額にデコピンが炸裂する。
「あいた!?」
愛依が涙目になりながら赤くなった額を擦る。
「な、な・・・」
愛依も思考が追い付かず、ずっと黒羽と撫子を交互に見ている。
「さっさとスープ飲め。冷めるぞ?」
「え、あ・・・う、うん・・・」
愛依が慌てて・・・でもゆっくりとスープを
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ