第五章
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「前に言ってたわ」
「そうだったよね、だからね」
「それでなの」
「清子ちゃんがお空を飛べる様にねってね」
そう思って造ったというのだ。
「それでどうかな」
「それで入院までして」
「あんなの大したことないよ」
「大したことあるわよ」
入院だからだ、それが大したことではない筈がないというのだ。
「入院よ」
「いや、僕にとっては大したことがないから」
「そうなの」
「とにかく、これでお空を飛べたよね」
こう言うのである。
「どうかな、気持ちは」
「嬉しいわ」
満面の笑顔での言葉だった。
「有り難うね」
「僕こういうことしか出来ないけれど」
一太郎はここでは寂しい顔になった。
「発明とかしかね」
「それが凄いと思うけれど」
「凄くないよ、だって今まで僕の発明って皆に怒られてばかりだったんだよ」
この学園でもだ、一太郎はとにかくその発明で騒動を起こしてきた。しかし清子はその彼にだというのだ。
「付き合ってくれてよね」
「ううん、まあね」
「迷惑してるのはわかってるよ」
それもわかっていたというのだ、一太郎自身も。
「それでもね、僕と一緒にいれくれる娘ってはじめてだから」
「だからなの」
「こうしたの造ってみたんだ」
空を飛べるものをだというのだ。
「じゃあ楽しんでね」
「ええ、それじゃあ」
「これからも造るから」
一太郎は笑顔で清子に言った。
「楽しみにしていてね」
「あっ、それはちょっとね」
「ちょっとって?」
「もっと騒ぎにならないのを造って」
清子は少し苦笑いになってそのうえで一太郎に答えた。
「もっとね」
「あっ、やっぱり迷惑なんだ」
「迷惑っていうかね」
清子は空を飛びながら難しい顔で言う、この辺りの感情は複雑だ。
「まあ程々のを造ってね」
「ううん、清子ちゃんが言うのならね
「頼むわね、一太郎君の私への気持ちはわかるから」
それはとだ、清子は一太郎に応えながら話していく。
「気を付けてね」
「ええ」
こうした話をしてだった、二人は共に空を飛んだ。
それからだった、一太郎はというと。
少しだけ大人しくなった、それはこの日清子の前に持って来たものもだった。
見ればそれは瓶である、一本の小さな瓶だ。
「これ造ってみたんだ」
「これ何なの?」
「うん、これを飲んだら髪の毛が綺麗になってね」
「髪の毛を綺麗にしてくれるの」
「うん、だからね」
それでだというのだ。
「飲んでみて」
「私の為に作ってくれたのね」
「うん、飲んでくれるかな」
こう言ったのである。
「清子ちゃんの髪の毛の為にね」
「わかったよ、じゃあね」
こう話してそうしてだった。
清子はその薬を受け取った、一太郎はその
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