第三章
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「ちょっと背中に手を回したら切れるし」
「うん、ばっさりとね」
「何かあったら落ちそうだし」
「だから実験中なんだ」
「命には気をつけてね」
今はこう言う位しか出来なかった、一太郎がいきなり窓の外に空を飛んで出て来て驚いたからに他ならない。
「くれぐれもね」
「心配してくれてるんだ、有り難う」
「とにかく気をつけてね」
今はこう言うだけだった、そして。
彼が去ってからだ、クラスメイト達もこれまで唖然となっていたが我を取り戻してそのうえで清子に対して言った。
「ええと、まあね」
「空飛ぶのねあんた」
「あいつと二人で」
「そうするのね」
「そうなるみたいだけれど」
まだ唖然としながらだ、清子は彼女達の問いに答えた。
「どうなのかしら」
「今回は飛ぶとはね」
「相変わらず何をするかわからないわね」
「ああいうのを斜め上っていうのね」
「そうなのね」
「いや、いつもこうだからね」
清子はクラスメイト達に言った。
「私としてもね」
「大変ね、本当に」
「彼と付き合うのは」
「何とかやってるから」
今もこうは言うがそれで精一杯だった、そして。
数日後今度はだ、清子は朝登校すると下駄箱で彼にこう言われたのだった。
「出来たからね」
「あのプロペラ?」
「うん、完成したから」
「テスト飛行も成功したのね」
「無事にね、だから一緒に空を飛ぼう」
「そうなの」
清子は数日前の衝撃を思いだしながら一太郎に応えた。
「テスト飛行も成功してそれでなの」
「もう一個完成したんだ」
その数日の間に出来たというのだ、一太郎は色々なものを造るだけでなくそれを完成させる時間も早いのだ。
「だからそれに乗って」
「お空を飛ぶのね」
「二人で飛ぼう、そうしよう」
「ええと、それで何時なの?」
清子は目を瞬かせながら一太郎に尋ねた、朝から彼だけがハイテンションだ。
「何時一緒に飛ぶの?」
「今日にでも。ただ」
「ただ?」
「これまでの試作タイプのエネルギーだった電池の出力は弱かったんだ」
「ガソリンとかでは飛ばないのね」
「あれだと排気ガスが出るから採用しなかったんだ」
その辺りにも配慮したというのだ。
「だから電池にしたけれど」
「出力が弱かったの」
「今強い電池を開発していてそれは今日のお昼に完成するから」
「それが完成してからなの」
「ちょっと待ってね」
電池が完成してからだというのだ。
「今日の午後にでも校舎の屋上から飛ぼうね」
「うん、じゃあ」
「今日の放課後だよ」
一太郎は意気込みも露わに清子に言う。
「一緒にね」
「ええ」
清子は今回も一太郎のペースに一方的に流された、それでだった。
その日の放課後を待った、もっと言えば待つし
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