第十二章
[8]前話
ふとだ、禎丞はサングラスの向こうの桃香のその目を見て言った、その言葉は。
「あれっ、ひょっとしてな」
「どうしたの?」
「御前目赤くないか?」
ふと気付いてこう言ったのだ。
「何かな」
「えっ、何でそう言うのよ」
「いや、見えたんだよ」
それで言うのだった。
「サングラスの奥からさ」
「それはね」
必死に隠すが僅かだがバツの悪い顔になっているのが自分でもわかる、禎丞を見上げたまま。
「何ていうかね」
「面白いな、それってな」
「面白い?」
「いや、吸血鬼みたいでさ」
禎丞はその桃香に笑ってこう言った。
「面白いなってな」
「面白いっていうの?」
「俺はそう思うよ、そういえば御前って何かな」
自分の言葉にきょとんとなる桃香にさらに言う。
「八重歯といい肌の色とか黒好きでトマトジュースとかばかり飲んで吸血鬼みたいだな」
「そ、それは」
「面白いよな、そういうのって」
それならというのだ、桃香に笑顔を向けて言う。
「可愛いっていうかな」
「可愛い?」
「いや、何て言うべきかって思ったけれどさ」
考えてそしてだというのだ。
「この言葉が出たんだよ」
「そうなの」
「そう、じゃあ御前の家な」
「来てくれるの」
「面白そうだからさ、じゃあパエリア楽しみにしてるな」
「えっ、ええ」
桃香は何とか己を取り戻しながら禎丞の言葉に応えた。
「期待していてね」
「そうさせてもらうからさ、これからも」
「一緒に・・・・・・いてくれるの?」
ここでまたきょとんとなった桃香だった、彼にこれからもだと言われて。
「あの、本当に」
「好きだからさ、御前が俺を嫌いじゃないとさ」
「そうなの、けれど」
「けれども何もないだろ、お互い好きならいいだろ」
そして桃香にこうも言ったのだった。
「何かそれで問題あるのかよ」
「ないわ」
このことは桃香もこう答えられた、だがだった。
その言葉を受けてそれからだった。
再びj本来の自分を取り戻して禎丞に告げた。
「これからもご馳走してあげるからね」
「楽しみにしてるな」
お互いに言い合う、そしてだった。
桃香は禎丞がさらに好きになったことを感じた。それは自分の心の中で確かにそうなっていた、彼のことをさらに知りそうなっていた。そしてそれはこのうえなく心地よいものだった。
その心地よさを感じながらまた彼に言った。
「私も今まで以上に美味しいもの作るから」
「ああ、そうしてくれよ」
こう話したのだった、彼が言ったこれからのことも想いながら。
今時のバンパイア 完
2013・4・1
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