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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十七話 強制捜査
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ンズベルク伯が用心深くなるわけだ。当然だが俺の事は面白くは思っていない筈だ。金蔓の貴族を潰されたんだ、帝国に対しても良い感情は持っていないに違いない。

『ベネディクトは現自治領主マルティン・ペイワードとは繋がっている形跡は見えない』
「……」
『偶然かな』
「……」
『こっちがベネディクトの事を調べるのと同時にルビンスキーが卿に連絡してきた』
「偶然とは思えないな」

多分今も二人は繋がっているのだろう。地球教が疑われている形跡が有る、そしてベネディクトの存在を察知されそこから自分の関与が明るみになるとルビンスキーは思ったのだろう。そして俺が地球教に疑いを持っている事も察知した。次第に自分が包囲されていくと思ったわけだ。だから身動きが出来なくなる前に寝返りを決断した……。俺がその事を言うとキスリングは“そんなところかもしれないな”と頷いた。

「アルバート・ベネディクトを見張ってくれ」
『分かった』
或いはルビンスキーはベネディクトとランズベルク伯の二人を騒乱を利用して始末するつもりなのかもしれない。その時は状況次第ではこちらで押さえる事だ。ルビンスキーに引導を渡す道具になるだろう。

キスリングとの電話を終わらせて会議室を出るとヴァレリーに応接室に行ってくれと言われた。どうやら俺がキスリングと話している間にあの男が来たらしい。大分慌てて来たようだな、もしかすると俺に対して苦手意識が有るのかもしれない。

応接室ではシャフト技術大将が俺を待っていた。
「待たせてしまったようですね、シャフト大将」
「いえ、そんな事は有りません。小官も今来たばかりです」
口調が硬いな、昔脅しすぎたかな。

「来てもらったのは大将にお願いが有っての事です」
「と言いますと」
そんなに警戒しなくていい。ルビンスキーが失踪して以来、シャフトに対してフェザーンからの接触は無いとキスリングから報告を受けているんだ。今回だって悪い話じゃない。

「ガイエスブルク要塞にワープと通常航行用のエンジンを取り付けて欲しいのです」
「ガイエスブルク要塞に、……あれを実行するのですか? ……ではイゼルローン回廊に?」
「ええ、そう考えています」
シャフトが唸り声をあげた。イゼルローン要塞攻略、その意味するところが何か、当然だが想像は付く。興奮しているのだろう。

「分かりました、直ちに作業にかかりましょう。それで何時までに終わらせれば宜しいでしょうか」
「そうですね、十月の上旬までには仕上げて欲しいと思います」
シャフトがまた唸った。

「十月ですか、では取り付け作業には四カ月頂けるという事ですな」
「その後運用試験に一ヶ月、最終調整期間として一ヶ月」
「なるほど」
全部で半年だ。ルビンスキーのフェザーン騒乱が何時始まるか分
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