Episode2 7層迷宮区
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くつ―――」
「よっしゃ、おおきに!」
アインクラッド、というよりネットゲームでのマナー違反であるリアルの話に触れかけた俺の言葉を語尾に被ったシスイの歓喜の声が遮った。そういえばシスイはキリトとフレンドになるべく交渉中なんだった。この様子からすると上手く言ったのだろう。それでなくても弁が立つシスイのことだからどうせ大丈夫だろうと思っていたが。
「あのっ、よく聞こえなかったんですけどもう一回言ってもらってもいいですか?」
律儀に聞き直してくるアカリになんでもないよ、と言葉を返した。他人のリアルは詮索するべきではないと言うのが暗黙の了解だ。
シスイの方を見遣ると満面の笑みでキリトの手を握って上下にブンブン振っていた。対するキリトも非常に微妙な顔をしているが嫌そうではない。
そんなシスイに、そういえば例の《いいもん》を催促すべきかと考える。さっきから全く場所を移動していないのだから、そろそろ次のプレイヤーが通り掛かってしまってもおかしくない。
「なぁ、シスイ。嬉しそうなところ悪いんだけど…」
「キリトはんと知り合えるやなんてホンマにもう!…ん?あっ、そやな。そろそろあんたに言っとったもん上げんとな!おかげで攻略組の知り合い増えたし。元は十分取れたわ」
そういってシスイはウインドウを呼び出し一つのアイテムを実体化させた。それは黄ばんでいて見るからにボロボロの長方形の紙切れだった。
「なんだそれ?」
「じゃじゃーん、どーや!」
「いや、どーや言われても…」
「それって、いわゆる《免罪符》ってやつか?」
「さすがキリトはん!ご明答や!」
免罪符と言えば社会の授業で聞いたことがある。なんでもそれを持ってれば罪が許されるとかなんとか…。
「あっ、じゃあそれ使えば!」
「そっ、カイトのカーソルグリーンに戻せるっちゅうわけや」
「おぉっ!」
俺とシスイの二人がテンションを上げている中、キリトだけが険しい顔をした。
「そんなものどうやって…。それがもしクエストの報酬だったりしたら」
「心配せんでええよ。確かにクエストの報酬やけど、あれストーリーからして一回切りやで。念のため今もちょいちょい確認しに行ってるし」
キリトは《免罪符》の流通を危惧したようだ。だが、それはシスイが言ったようにないみたいだし、そもそも俺は今他事を心配していられない。焦れるような思いでシスイに問い掛ける。
「それ、いくらでくれるんだ?」
「ただでええよ。問題があるとすれば使える場所が限定されてることやけど…」
「どこ?」
「7層の迷宮区近くにあった小さな寂れた教会や」
7層の地形を頭に浮かべる。うろ覚えではあるが確かに用途不明の教会があった気がする。
「じゃ、今すぐ7層の最前線の街に行って…
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