Episode2 7層迷宮区
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左手の中指で銀縁のメガネを押し上げると今度は打って変わって真面目な顔をする。
「ゴメンなー、でもよー分かった!さっきも言ったみたいにあの手配書はようさん変なところがあったし、アカリちゃんみたいにちゃんとした証人もおる。カイトの話にも、まーなんとか矛盾がない。やからカイトは無罪や。配られてもた手配書はウチに任しとき!なんとかしたるわ!…あっ、ちょお待ってな。せっかくやからキリトはん」
力強く言い切ったシスイに素直に感謝すべきか検討をしているとシスイがキリトの方を向いて一気にまくし立て始めた。いろいろ前置きや別の話が混じってはいるが、要は自分とフレンド登録して欲しいらしい。渋るキリトに自分と知り合っておくと如何にいいことがあるかを語るシスイに感謝するタイミングを完全に失った俺は、傍らにつまらなさそうに地面を見つめて佇む少女に向けた。
「えっと、ありがとな。俺が何もやってないって言ってくれて」
声に反応して顔を上げたアカリは微笑みながら首を左右に振った。
「いえ。あたし、本当のこと言っただけですから!」
そういったアカリはえへへっ、と嬉しそうに笑った。つられ笑いそうになった俺は何か頭に引っ掛かるような感覚を覚え、微妙な表情になった。それを見て不思議そうに首を傾げたアカリにあぁそうか、と一人納得しながら疑問を口にした。
「でもあのさ、さっきからアカリは俺が寝てから腕枕をしたって言ってたけど、寝たのってアカリの方が先じゃなかった?」
「へっ?なんでですか?」
「や、なんでって。だって、俺アカリの寝息聞いてるうちに寝ちゃったわけだし…」
「あたし、先には寝てませんよ?ちゃんとカイトさんの寝顔見てから寝ましたし」
噛み合わない会話に今度は俺が首を傾げる。確か俺は、俺の横に来ていつの間にか寝てしまったこの少女を追うように眠りに落ちたはずだ。
むむぅ、と悩んでいる俺の服をアカリが急に引っ張った。
「分かりましたっ、カイトさん!あの、あたし昨日もそうなんですけど、よく怖い夢見て眠れない時があって。そんなときはママが『寝たふりでもいいから目をつぶってるといつの間にか眠れちゃうんだよ』って!だから昨日もそうしてたんですよっ!だからカイトさん勘違いしちゃったんじゃないかなぁって」
両親の絡む話になると実に楽しそうな顔をするアカリを見ながらその説明に納得した。そういえば俺も幼い頃母に同じようなことを言われた気がする。
別に昼寝をしたわけでも怖い夢を見たわけでもないのに、やけに目が冴えて眠れなくなってしまった俺の横で優しく髪を撫でながら母がよく似たことを言ってくれたのだ。
「そっか、そういえば俺もおんなじこと言われてた気がするよ。…でも確かすっげぇちっさい時のことだったような……。なぁ、アカリって今い
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