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ゲルググSEED DESTINY
第十八話 エクステンデット
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女のデータを見せてもらえます。できれば基準となるもののデータも含めて」

「こちらです。とにかく、見る限り身体に関係するデータは殆どが異常な数値を示しています。それに我々にも分からないような薬が投与されているらしく、下手に処置を施すのもどうかと―――」

渡されたデータを見ながら数値を解析していくクラウ。その表情は真剣そのものでタリアは声を掛けるのを躊躇う。

「数値からして、培養の液体にも何らかの処置が施されてた可能性が――――――だったら、血中のヘモグロビンが異常な容啓をしているのも含めて―――――」

クラウの専攻は技術分野だが、科学分野も研究者として知識を得ており、何より前世の記憶にはそういった類の職に就いたこともある。その為渡されたデータを解析し、必要な処置を頭の中で思い浮かべる。
高い記憶能力は伊達ではないのだ。現在では無いような治療技術だって頭の中には存在している。

「こっちの艦じゃ手が回らないか……艦長、彼女をこちらの艦に移してもいいですか?ミネルバでは処置できないと思えるんで」

「ちょっとまって?あなた、これを見て彼女の状態を理解したっていうの!?」

「はい、専門はMS関連ですが、こういった面も得意な方です」

得意というだけで専門職の軍医を超えられる話をされても困る、とタリアは思う。クラウはこのミネルバクルーの中でも少ない自分の同類―――つまり、冷静な常識人だと思っていたのだが、どうやらそういうわけでもないみたいだ。

「……ええ、わかったわ。そちらの艦に彼女を移してちょうだい。どちらにしてもそちらの艦は一度基地の方に行くんでしょう?」

「まあそうですね。彼女の方も見た限りですが、艦内の設備ではまともな治療はできないでしょうし」

「え!?それじゃあステラは!」

クラウがステラを治療できないと聞き、シンは思わず声を上げる。タリアはそれを窘めるように睨むがクラウがまあまあと宥めるように対応しながらシンを庇う。

「治療出来ないわけじゃないんだけど、本格的な回復が見込めないってところかな?でも、それなりに施設の整ったジブラルタル基地やカーペンタリア基地、そこまでじゃなくてもディオキア基地クラスにまで行けばおそらくは大丈夫だと思うよ」

「そ、そうか……でも、それじゃあ俺は一緒にはッ―――!」

「残念ながら行けないね。今話し合ってたのはそのことも含めてだから」

「そのこと?」

ミネルバは命令通り再び海を渡って最前線へと出ることになる。しかしそれでは捕虜にしたステラを治療することが出来ないためクラウが要請したラー・カイラムは一旦基地まで戻ることになるのだ。

「はあ、折角ミネルバにリゲルグを搬送する準備をしたってのに結局また用意し直してお蔵入りか……」


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