暁 〜小説投稿サイト〜
『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第三十四話
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話



 加茂大佐の炎龍討伐隊が炎龍と交戦している中、エルベ藩王国との国境付近に特地方面軍から一個旅団と戦車一個中隊、一個飛行戦隊が布陣していた。

「ふむ……やはり森林が多いな」

「九八式直協(九八式直接協同偵察機)からの報告でもそのような事があります」

「流石に爆撃で森林を焼き払うわけにはいかんからな。此方が展開しやすい場所にいると向こうは来ると思うかね?」

 エルベ藩王国攻略司令官に命じられた狭間少将は元エルベ藩王国の王であるデュランに問う。

「息子が馬鹿正直なら来るぞい」

 デュランはニヤリと笑った。その表情は日本軍を試しているようであった。

 狭間少将はそれに苦笑しつつ、陣地構築をしている工作隊に視線を向けた。

 実はこの一個旅団、戦力の半分は海軍陸戦隊一個連隊であった。(残りは歩兵第二八連隊)

 帝国の反撃を予想してこの程度しか出せなかったのだ。(実際に帝国が再び反撃してくる事は無かった)

 そのため、装備は旧式の三八式歩兵銃や三八式野砲(十二門)、九六式軽機関銃である。(それでも大隊砲や連隊砲は多数ある)

 更に戦車中隊も旧式の八九式中戦車乙八両、多砲塔戦車の九五式重戦車二両、九五式軽戦車の代わりに九七式軽装甲車(テケ、三七ミリ戦車砲搭載型)四両の臨時編成であったのだ。

 九五式重戦車など内地にあったのを無理矢理持ってきた戦車である。

 最新と言えるのは航空部隊だろう。

「国境線でこれだけの森林だと向こうも此方が来た事に気付かないな」

「それでは国境線を越えるので?」

「仕方なかろう。此方はデュラン殿を協力するために来ているんだ」

「国境線付近の領主は全て儂の配下じゃ。儂を見せれば御主らに従うだろう」

 デュランも賛成した事により、旅団はエルベ藩王国の国境線を越えて近場の領主の館へと進撃した。

「何事かッ!?」

「は、はい。デュ、デュラン陛下がお見えですッ!!」

「何……?」

 領主のハインリッヒ・フォン・ブルクドルフは執事の報告に唖然とするのであった。



「何? 父上が国境付近にいるだと?」

「その通りです陛下」

 デュランから無理矢理王位を継承したヘルマン・ド・エルベは部下からの報告に耳を疑った。

「ふん、耄碌した父上が何しに来たんだ?」

「は、王位を返せと……」

 部下の言葉にヘルマンは笑った。

「耄碌したと思ったら頭も可笑しくなったのか父上は? エルベ藩王国は最早私の物だ。父上の出番は無い」

「ですがデュラン殿に同調する貴族もおります。更にアルヌスの丘の異世界の軍もいると……」

「父上が負けたのは連合軍で協調していたからだ。我がエルベ藩王国軍は精
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ