現在の加賀
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和谷と伊角は面識がないため、加賀をぽかんとして眺める。実は加賀もこの学校の生徒だった。加賀は中学の頃と見た目はほとんど変わっていない。茶髪に、「王将」の扇子、さすがに文化祭だからタバコは咥えていないが、その出で立ちは全く不良。しかし制服は詰襟からブレザーに変わって、若干大人びた印象を与えていた。ブレザーのボタンは全て外されていて、ネクタイは緩めに結んである。10センチほど背が伸び、今のヒカルとちょうど目線が垂直に合うくらいだった。
「ちったあ成長したんじゃねえか?なあ、進藤」
「うるせえなあ」
河合さんがやるみたいに頭をガシガシされてヒカルはその手を払う。加賀はヒカルの後ろにいる二人に目をやり、話す。
「お、プロのお仲間か」
和谷と伊角は一応頭を下げて挨拶した。
「和谷です」
「伊角です、よろしくお願いします」
律儀に自己紹介する二人に加賀は少し悪戯心が生まれてこう返した。
「おー、俺は加賀。将棋部の主将で進藤の師匠だ」
「誰が師匠だよっ」
「本当のことじゃねえか」
扇子を閉じてぽんぽんとヒカルの肩を叩く。何が何だかよく理解できない和谷はヒカルに恐る恐る尋ねる。
「おい、進藤、この人は」
「ああ、加賀は俺が小学校の時、中学の創立祭で知り合ったやつで、俺が中学に入学した後もたまに囲碁部を覗きに来てたやつなんだ」
進藤の知り合いにこんなやつがいたなんて、と和谷は息を飲む。
「そうそう。そんで囲碁部なんかより碁が強い。・・・でもないか」
加賀らしくない答えにヒカルは首をひねった。謙遜でもないようだ。加賀は顎に手を当てて面白そうに語る。
「去年から藤原が入ってきやがったからな。あいつはただもんじゃねえぜ」
「佐為のことか」
「お前藤原を知ってんのか」
不思議そうにヒカルを見る。ヒカルこそ佐為には加賀のことを聞いていなかったから意外だった。
「ああ、今日はそういう用事で来たんだよ」
ヒカルが佐為との関係などを話し終えると、加賀はニヤリと口元を上げた。
「まさか藤原とお前がなあ。意外だぜ」
「ところで加賀は文化祭何してんだよ」
「俺か?俺のクラスは執事喫茶とかいうアホなのだから投げたんだが、急きょ3-Cの劇に代理で出ることになった」
「3-C?それ、佐為のクラスじゃねえのか」
和谷が割って入ると加賀は「ああ」と返す。仕方なさそうな声で話すが、内心楽しそうに見えた。確かに執事喫茶よりかは面白そうに思える。
「舞台に出るやつが今日になって高熱にうなされてるらしくてな。クラスの誰もやりたがらねえって言うんで、筒井が俺に頼んできた」
「て、他のクラスの劇だろ。出来るのかよ」
「筒井の台本見たこ
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