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アマガミフェイト・ZERO
十二日目 十二月二日(金)前編
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、ないわ」
(ただ、定められし運命を、未だに受け居られずにいるだけ。……私を目覚めさせた勇者。それが誰であろうと、私はその者と結ばれなければならない。けれど、運命はまだ私をなじり足りないようね)
「ふんっ、謀られたことにも気付かない愚か者が、この大国の王妃なんて勤まるのかしらね」
 セイバーが、はっと顔を上げ、はるかを見る。
「それは、何のこと……?」
 憎しみに満ちた目がセイバーを突き刺す。
「教えて上げるわ。あなたを倒したのは、本当は私の夫。これを見なさい」
 森島はるかが、きらりと光る物を取り出した。手の平に乗っているのは、豪奢な宝石がちりばめられ、強力なルーン文字が幾重にも彫り込まれた首飾り。
 セイバーの眼が見開かれた。
「それは、わたしが負けた時に、王に差し上げた物」
「ええ、だからあなたを倒したのは、本当は私の夫だと言ったでしょう。自分の身の程が解ったら、尊大な態度を改める事ね」
 驚愕したまま固まってたセイバーの顔が、歪んだ。頬に流れるものを拭いもせず、セイバーは部屋を出た。
「これも罰だというの? ふふっ、神はもう、わたしを必要としていないという訳ね」
 流れ続ける涙。だが、セイバーの顔が憤怒の形相へと変わっていく。
「まずは確認ね。さっきの話が本当に真実なら……、好きにやらせてもらうわ。もう失うものなど無いのだから」
 身体を震わせ、でも凛とした態度でセイバーは歩み続けた。
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