第五話
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「とりあえず映姫さんについていきます。ほんとはみんなのことが気になりますが、しかたないですね」
(まあ妥当だろうな。いずれほかの人にも出会えるだろう)
「そうですね」
(道なりに進めばいい。そうすればいずれと道がひらける。がんばれよ……)
なぞの声がそういったあと、俊司はなんともいえない感覚に襲われていった。
「……うっ……いって……」
目を覚ますと、青々しい空とひまわりが視界に入っていた。それに、なぜかはわからないが頭痛がひどい。なにか大きな衝撃を受けたかのように、頭がガンガンしていた。
「なにが……」
「あら、気がついた?」
そういいながら俊司の顔を覗き込んできたのは、幽香だった。
「えっ……幽香さん?」
「ずいぶん気を失ってたのね」
「気を……失ってた? でもなんで……!?」
ゆっくりと体を起こした俊司は、自身の周りをみて驚いた。
周辺の土は大きくへこみ、大きな衝撃が加わってクレーターのようになっていたのだ。それに、俊司が気を失っていたことも考えると、ここでなにかが起きていたのは事実。
俊司はゆっくりと気を失う前の記憶をたどり始めた。
「……幽香さん、俺になにかしましたか?」
「あなたを攻撃しただけよ。地面に思いっきりたたきつけただけ。」
と、幽香はすまし顔でそう言った。
「な……なんでそんなことを?」
「それは私から説明します」
そういって間に入ってきたのは映姫だった。
「映姫さん?」
「簡単な話です。あなたの能力を試しただけです」
「……能力?」
「今のような攻撃をうけると、いままでのあなたならどうなっていましたか?」
「そりゃあ……死んでた……!?」
俊司は何かに気づいたのか、目をカッと見開いていた。
「そう……死んでいたんですよ。ですが、今のあなたは亡霊です。すでに死んでしまったあなたが再び死ぬことはありません」
「……」
「あなたの能力はあなた自身が『死んでしまう場合にのみ』自動で発動します。ですが、死ぬことのないあなたにとってほんとうの危機は、肉体の封印を解かれ滅んでしまうこと。そうなってしまえば、あなたの魂は今度こそ消えてなくなってしまうでしょう」
「つまり……おれの能力はもう使い物にはならない……ってことですか」
俊司は顔をうつむかせたままそう呟いた。
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