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東方攻勢録
第五話
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点があり、俊司自身が任意で発動することはできない。それが仕様なのかどうかは不明だが……。


「彼の能力は確かに可能性を秘めています。そこで……」


映姫はなぜかそれ以降の会話を、俊司に聞こえないように幽香の耳元で話した。一連の話を何も言わずに聞いていた幽香だったが、急に俊司のほうを見て不適な笑みを浮かべるた。


「なるほどね……なら、ちょっと試させてもらいましょうか?」

「試すって何をですか?」

「あなたの能力」

「えっ……!?」


俊司が声を出したと同時に、幽香は俊司の目の前まで来ていた。

何が起こっているのかわからず、あっけにとられる俊司。だが、幽香はそんな少年を見ながら少し笑っていた。







その数秒後、俊司の視界は暗転していった。












「あらあらのびちゃったわよ?」


幽香はすぐそばで倒れたままの少年を見ながらそういった。


「かまいません。それが狙いでもありますから」

「かわったことするのね?こんなことをしなくても、口答でよかったんじゃないの?」

「たしかにそれでもいいかもしれませんが、まずは身を思って知ることも大切でしょう。まあ、私自身が確実にそうなると証明したかっただけでもありますが」


映姫はそういって溜息をついた。


「しかし、本当に予想通りの展開ですね」

「本当にこの子が能力を持ってるの? そうとは思えないけど」

「能力を持っているのは事実です。扱いきれているかどうかでは微妙ですが……」


映姫はそういいながら少年を見る。その目には、確実に何かを捉えていた。













「……ここは……またか」


気がつくと、俊司は暗黒のような世界に立たされていた。


(命拾いをしたな少年)

「おかげさまで。まあ、命は落としましたけどね」


少しボーっとしていると、いつもの声が俊司の頭の中に響き渡った。もう三度目となって、このやり取りもだいぶいたについてきたようだ。


(それもそうか。しかし、また奇妙な運命に巻き込まれたな)

「なんかこれから先を知ってるような言い方ですね?」

(そんな気がしているだけだ)

「……そろそろ教えてくださいよ。あんたは誰なんですか?」


俊司はそう問いかけてみるが、声の主は答えようとはしない。理由があるのか、ただ単に正体を明かさないだけなのかはわからなかった。


「また黙秘ですか?」

(まだ時期ではないということだ。わかってくれ)

「時期って……まあいいですけど」

(すまんな。で、これからどうするんだ?)


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