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炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
十一章 「交戦」
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 ………何だかややこしくなってくるな。
 まぁ、セイバーがサーヴァントっていう規格外の存在ってのもあったんだが。
 どうせ、俺には取り柄が無いんだ。なら一つの物を極めるよりは、多くを修める道を選んだ方が良いだろ?
 俺の魔術の性質上、色んな種類の武器を持ってるようなもんなんだし。
 さらに言うなら、どうせ俺は騎士じゃなくて魔術使いだし。
 ともかく、奇策を尽くせばどんな相手にも一度くらいは勝ちを掴めるもんだ。
 まぁ一応、剣術自体は基本を守ってはいるんだけどな。
 だが、戦術は性格の悪い物だと言える。そりゃ、あのアーチャーの野郎の戦術だからな。
 欠点と言えば、二刀流の時は剣技の性格が故に攻勢に適していない事だが。
 元より俺は、他者を護るための剣だ。専守防衛、大いに結構。
 そんな事は些末な問題だよな、アーチャー。
 赤き弓兵の幻影に自分の姿を重ね合わせるように、ギアを一段上げて体を加速させる。
 前の身体でもあれほどの剣技には、まだ至っていない。
 聖杯戦争当時まで劣化したこの身で何処まで出来る―――。



  ◇



 撃破した敵の数は二十から数えていない。
 フリアグネは相変わらず傍観を続けている。
 最初の内は、それなりに関心を見せていた様だが、やがて俺の戦い方が防戦主体の面白味のない物と分かると、興味を無くしたようだ。
 先程言っていた通り、奴にとっては単なる余興なんだろう。
 敵の攻撃を受け止めては、切り捨てる。
 余興にしても、華のない俺の戦いは、お気に召さなかったようだ。
 だが、そんなことは俺にはどうでも良い。
 前の一太刀より鋭く、今より速く踏み込む。
 身体の調子を確かめるように戦う。
 この向かい来る木偶達を倒している時間は、俺自身との戦いだった。
 目の前にはアーチャーの野郎の後ろ姿。奴の動きと、俺の動き。差は一向に縮まらない。
 ただひたすらに剣を振るう。

 いつしか、えらく懐かしい事を思い出していた。
 今と同じように木偶を相手に武器を振るう。自分の動きをアーチャーに重ねていく。
 あれはいつの事だっただろうか。
「そうだ、遠坂と一緒に学校で竜牙兵を潰してた時と似てるな」
 感慨に更ける。
 無論、防御と攻撃の手を抜くことはない。目の前には近づいては引き離される、アーチャーの背中があるからな。

 確か、あの時は学校が結界に覆われてしまったんだ。
 今、考えると良い思い出―――ではないか。
 学校の皆が殺されかけたんだし。
 けど、懐かしい出来事だ。
 あの時は、俺の投影について、だ俺はまだ知らなかったから、強化した得物でアーチャーの剣技を真似てたんだったか。
 そういや、この世界に来たときも椅子の脚を強化して使ったよな。

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