”狩人”フリアグネ編
十一章 「交戦」
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うしても敵に背中を晒す必要がある。
その、一瞬生まれる『無防備になる瞬間』を襲われてしまってはひとたまりもない。
両腕に確かな手応え―――、夫婦剣の投影は完了したようだ。
たっぷり時間をかけれたから、夫婦剣の完成具合に不備はない。
敵のマネキンは視認できる範囲でだが、武装はしていない。
ちなみに本来の用途の使用法は無視され、服は着ておらず、間接部はむき出しになっている。
防具を纏われていると厄介だが、
こいつはツイてるな。
―――が、数だけは多い。
数とは戦闘に置いて、最も単純かつ強力な力だ。
一騎当千の騎士とて、圧倒的な数で攻められれば負けるのが条理だろう。
生憎、騎士ではなく魔術師の俺には『とっておき』が有るため、それなりに善戦は出来るが、それとて自由に使える訳ではない。
むしろ、今は使えないし。
定石なら大火力の武器を持って制圧攻撃の後、残敵の掃討をする。
だが、今の俺はそんな大火力を満足に使用できない。
シャナの大太刀の様に、敵をまとめて薙ぎ払える武器ならなんとかなるだろうが、干将と莫耶ではそんな芸当は無理だ。
一対一が前提の武装だからな。
干将と莫耶で、多数を薙ぎ払う方法は二刀の投擲しかない。
だが、その手を使うと俺は丸腰になってしまう。
とてもじゃないが、今の俺に万全の夫婦剣の連続投影は無理だ。
投影が満足に扱えれば状況は違うが、そうならば、そもそも別の武器で敵を一掃している。
無い物ねだりをしても無駄だ。今は、敵を一体ずつ地道に潰していくしかない。
一足で踏み込んで、可能な限り敵を潰す。
敵に反撃される前にどれだけ多く敵を潰せるかで、この戦闘の流れは決まると言って良い。
出来れば五体、良くて十体は潰したい所だ。
踏み込みの為に足も強化しておくが、魔力消費量の増加は強化も例外ではない。
俺は既に『全て遠き理想郷』と『干将・莫耶』を投影している為、それなりに魔力を消費している。
多勢に無勢な上、フリアグネも控えている事を考えれば、可能な限り魔力は温存したい所だ。
それに、そう簡単に夫婦剣を破壊されるとは思わないが、何が有るか分からない。
魔力が切れ、武装を失えば、魔術師とはいえ、ただの人間と大差はない。
足の強化も完了、用意した夫婦剣を構えて、戦闘準備をする。
夫婦剣での戦闘の調整をしていなのが、気がかりと言えば気がかりだが、誤差の範囲は戦闘中に縮めるしかないな。
「やってやろうじゃないか。―――よし、戦闘開始だ!」
強化された脚力を活かし、手近なマネキンまで一足で踏み込み、干将で横薙ぎに切り捨てる。
―――まずは一体。
思った以上に頑丈なマネキンだな………。
武装をしていないのではなく、する必要がないって
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