第二十五話 御神
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side 遼
はやてと一緒に昼ごはんを食べた日の翌日、つまり日曜日。
私はなぜかなのはの家を訪れていた。
昨日突然かかってきたなのはからの電話。
何やらなのはのお姉ちゃん、つまりは美由希さんが会いたがってるらしい。
(はて、一体何だろう? 一応木刀セットは持ってきてるけど、荒事にならないといいな)
不思議に思いつつ、呼び鈴を押す。
「はーい!」
元気な声と共に扉が開く。
出てきたのはなのはだった。
「あ、遼ちゃんいらっしゃい! お姉ちゃんたちなら道場の方にいるよ」
「そう、ありが…………、たち?」
「うん、お父さんとお兄ちゃんも一緒」
強烈なまでに嫌な予感がした。
高町家の戦闘要員が勢揃い。
(気軽にここまで来たけれど、なんだか一気に処刑台に向かう受刑者の気分だよぉ)
けれど、そこまでするくらいだから行かないわけにはいかない。
「なのは、も来る?」
「ごめんなさい、私この後用事があるの」
そう言って両手を合わせるなのは。
せめて彼女が来てくれれば少しは楽だったかもしれないのに。
そうして私は一人で道場の扉を開け、
――――回転しながら目の間に迫る木刀。
それを認識した瞬間、視界がゆっくりになる。
奥を見ると美由希が何かを投げ終わった姿勢のまま固まっている。
それに奥になのはのお父さんとお兄さんもいて、私を見ている。
よく見ればこの木刀、微妙にそれていて、私には当たりそうにない。
そうとわかると私はそのまま目をつぶる。
後ろから木刀が壁に当たる音がして、時間が元に戻る。
「きょうちゃん、見えた?」
「ああ、一度周囲を確認した後に目をつぶっていた、間違いなく神速だな」
? あのモノクロ視界のことだろうか?
「ごめんな、遼ちゃん、ちょっと確かめたいことがあったんだ」
なのはのお父さんがしゃがんで私の頭をなでる。
…………こういうのは慣れないからちょっと恥ずかしい。
「ねえ遼ちゃん、最近死にかけたことってある? それも一度に何回も」
今度は美由希さんが聞いてくる。
どうやらこの人たちはこのモノクロ視界に詳しいようだ。
なら、不用意な嘘はすぐにバレてしまうかもしれない。
「えっと、ちょっと前に」
そう答えるとみんな悲しそうに私を見る。え? 何?
「遼ちゃん、あなたが悩んでいる視界はね、私たち御神の技の一つで神速って言うの、多分あなたが何回も死にかけた時に、頭の中のリミッターが壊れちゃったと思う」
御神? よくわからないけど病気じゃないみたい。
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