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ファルスタッフ
第二幕その三
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うも」
 やはり内面でにやけながら財布を受け取り応える。
「実はもう手筈は整っていまして」
「整っていると」
「左様です。まああと半時間であの方はわしのものですじゃ」
「半時間!?どうしてですか」
「あの方はわしを慕っていまして。それで今から行くのです」
「今にですか」
「二時から三時までの間に」
 彼は言った。
「旦那がおられぬので。その間に来るように言われているのです」
「誰にですか?」
「そのアリーチェ夫人にです」
 フォードはそれを聞いて内心激怒した。それを隠すだけでも四苦八苦だった。
「そうだったのですか」
「あそこの旦那はメネラーオスかはたまたコキュか」
 ギリシア神話のセレネーの夫のスパルタ王だ。セレネーをパリスに奪われた。
「そのうちコキュの印の角の上で花火をつけてやりましょう。間抜けな雄牛の角に」
(何ということか)
 フォードは今のファルスタッフの有頂天の言葉に内心怒りで震えた。

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