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ファルスタッフ
第二幕その一
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「何と、あの奥方の」
 丁度狙っている相手だ。その名前が出て思わず声をあげてしまった。
「あの方もお気の毒に」
「また何かあったのですか?」
「貴方のせいですよ」
 悲しい顔を作ってファルスタッフに告げる。
「貴方がとんでもない色男だから」
「わしがですか」
「あの方はすっかり貴方に夢中です。お手紙を差し上げましたね」
「うむ」
 クイックリーの言葉に答えて頷く。
「それから夢中で。それに仰っていました」
「何と仰っていたのですかな」
 椅子から腰を浮かして問う。

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