それぞれの過去A
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なの育成が中心だった。
「んじゃ、戻りますか」
「そうだな」
そう言ってみんなはこの層で買った一軒の小屋、俺たちの本部へと帰った。本部と言ってもみんなである程度暮らすための家のようなものだった。しかしそんな小屋でも俺たちは楽しく過ごしていた。みんなで昼食をとりながら俺はノエルにたずねた。
「そういえばノエル、どんなクエスト持ってきたんだ?」
「ああ、これ」
そう言ってノエルは一枚の依頼書を手渡した。その紙に目を通すと、そこにはこう書かれていた。
《クエスト名:シアターパニック》
内容:第三十二層にあるシアターパークで《シアターコクーン》三体を討伐せよ。
その内容を見てシオンは、
「ふーん、三十二層ねー・・・。まあ、妥当なところだな」
「そうね、レベル的にもこのあたりがちょうどいいわね」
「よし、それじゃあ明日出発しようか」
「うん!」
「りょーかい」
「分かった」
そう言ってみんなはお昼を楽しんだ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
その夜俺は明日に備え、床につこうとした。しかし誰かがドアをノックした。
「はい」
「あ、ごめん。私なんだけど」
「ツバキかどうした?」
「いや、大した用じゃないんだけど・・・」
そのモジモジとした反応で俺は察した。
「寝れないのか?」
「う、うん・・・。少しの間だけ、一緒にいてくれないかな?」
ツバキは赤くなりながら言ってきた。彼女にしては珍しかった。普段なら寝つきはいい筈なのに。
「わかった、いいよ」
「ありがとう!」
そう言ってツバキは俺の部屋のベッドに座り込んだ。
こうして見るとやはりツバキは美少女なのだなと、思ってしまう。エリーが清楚系であるように、彼女も違うタイプの美少女ではあっただけあり何人かの男のプレイヤーから誘わせたのも事実である。
そんな彼女は枕を抱え、ベッドに座り込んでいる。
「どうしたんだよ、お前らしくもない」
「最近、おんなじ夢ばかり見るんだ〜」
「夢?」
「私たちが、消えちゃう夢」
「ほう・・・」
「私の目の前でみんなが泡のように消えていっちゃうの。それが恐くてここ最近はずっとこんな調子なの」
「そりゃあ、キツイな・・・」
みんなが消える夢。それは俺たちが死ぬ夢というなんとも酷な夢であった。
「私恐い、みんなが明日居なくなっちゃうんじゃないかって。それがずっと恐かったの・・・」
ツバキは枕を強く抱きしめながら涙を流した。その姿は普段の彼女からは想像がつかなかった。
俺は思った。彼女は本当に強い子なのだと、
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