新生
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、その一瞬の内に、周囲を氷河で覆うだろう。
そして、まつろわぬルリム・シャイコースも厄介である。
この神は、性格にはクトゥグアの直接の子供という訳ではなく、クトゥグアの子供であるアフーム=ザーの配下である。
この邪神も、アフーム=ザーと同じく《氷》、《冷気》の神格を持っている。
『ルリム・シャイコースは「イイーキルス」から白い光を放射し、世界を滅ぼそうとしている。姿は太った白蛆に似ていて、その全身はゾウアザラシよりも大きいとされている。尾は胴の体節程の太さで、半ばとぐろを巻く。また、前端は肉厚な白い円盤状で、伸び上がったその前端には顔と見られる部分があり、その中央に口裂が開き、醜い曲線を描く。この口は絶え間なく開閉を繰り返し、その度に舌も歯もない白い口腔があらわになる。浅い鼻孔の上には左右迫った眼窩があるが、眼球らしいものはなく、血のように赤い小球体が次々と生まれてはこぼれ落ちる。ルリム・シャイコースが発する光に照射された者は、白く氷結し、火で焼かれようともその氷は溶けず大理石のように白く輝いたままで、その周囲に北極の氷が発するような冷気を振り撒く。』
この神も、既にインドに致命的な被害を出している。普段は暖かい地域で、急に北極のような気温に変化すれば当然なのだが。降り積もる雪による事故や、急激に変化した気温による病人などが続出しており、既に阿鼻叫喚の地獄絵図なのだという。この状態で権能を開放され、人が決して溶けない氷に覆われたとなれば、更なる混乱は必至だ。なんとしても避けなければならない。
「・・・・・・事情は分かりました。そんなことになっているのなら、俺が戦うしかないんでしょうね。」
そこまで聞いて、覚悟を決めた護堂は頷いた。エリカが何か言いたそうにしているが、鈴蘭はあえてそれを無視した。
「うん。恐らく、クトゥグアが消滅すれば、その二柱も消えるはずなんだよね。従属神の召喚っていうのは、『異界から、縁のある神を無理矢理連れてくる』行為なの。だから、現界するために常にクトゥグアの呪力を消費しているし、その彼女が死ぬと、彼らも現界を保てなくなる。だから今は、クトゥグアをいかに早く倒すかが鍵なんだよね。」
「でも、俺は戦いかたなんて知りませんよ?アイツとの戦いは、相性が良かっただけで・・・それに、切り札も壊れてしまいましたし。」
切り札とは、あの”神墜としの魔道書”のことである。自身の許容量を超えた権能を奪い取ったあの神器は、既に壊れてしまっている。ただ、まだ神器との繋がりが感じられるので修復は不可能ではないかも知れないが、それでもすぐには無理だ。
「大丈夫。君には、既に権能が宿っている筈だから。」
「・・・権能。」
無意識に胸を抑える護堂。
「そう。貴方がナイア
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ