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シャンヴリルの黒猫
54話「第二次本戦(1)」
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3つ+α、かつ無詠唱なのだから、その難易度たるや、想像に難くない。
 もっとも、降参する間もなく倒れ臥したノークをせせら笑う余裕があるのがAランカーたる証ではあるが。
 まったく、こんな一言で最上級魔法を連発するような化け物(アシュレイ自身他人(ひと)のことは言えないが)が3人も4人も集まった第一次予選では、よく会場が壊れなかったものだと、密かにアシュレイは感心した。

 実際のところ、大会では戦術級魔法は使用禁止、最上級魔法に関しては事前報告をしたもののみ使用可というルールがある。報告をうけて事前に魔法障壁の属性耐性を偏らせるのだ。
 初戦の魔法障壁は火属性に強い赤い色になっていたのも、それの影響だ。
 報告は大会側のスタッフが尋ねてくるのだが、アシュレイを根っからの剣士とばかり思っている彼ら(クオリが参加届に魔法は使用しないと書いたせい)がアシュレイには見向きもしなかった為、彼がそれについて知る由もない。

 続く試合はB+ランカー同士。それも近接職対遠距離職と、初戦と同じ組み合わせであったが、それでも先のアディアンヌは別格なのだと思う試合内容だった。
 水魔道士アインはひたすら無詠唱を連射していた。その間に最上級魔法の詠唱をしようという魂胆であるが、その無詠唱魔法がことごとく下級、最下級のものだった為、結局剣士アベルに押し切られる形の結果となった。

 そして最後、【狼王】の渾名を持つ拳闘士ロボ対、正体不明のFランカーアシュレイの試合。
 観客としてはこれほど一方的になるだろう試合はなかったのだが、意外なことに――ユーゼリアとクオリにとっては期待通りだが――なんと、Fランカーであるはずのアシュレイが予想外の奮闘を見せていた。

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