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シャンヴリルの黒猫
54話「第二次本戦(1)」
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う相手が誰かをはっきりさせましょう! まず、スペードを引いた方、一歩前に!』

 剣士とあの少女が出た。その瞬間、少女の瞳に勝利を確信する者の光が灯る。
 彼はどうやらシード組ではなくアシュレイと同じ予選通過者のようであった。つまりランクは最高でもB+。

(なる程、つまりシード権を持っている3人が表彰台を総なめにするわけだ。……例年通りなら)

 ピコン、と画面に顔写真とランク、年齢その他が現れる。

『B+大剣使いノーク・アポストロム選手! Aランク炎魔道士【赤の女王】アディアンヌ・オーケストラ選手!』

わあああああ!!!!

『続いてダイヤ!! B+水魔道士アイン・シティ選手! B+細剣使いアベル・カヴァエリ選手!

 次にクローバー!! …おや、“当たり”を引いたのはAランク双剣士【魔法剣士】フラウ・クレイオ・エウテルペ選手! 相手選手がいない為、セカンドシード権獲得で、この時点で既に準決勝進出確定です!

 最後にハート!! Aランク拳闘士【狼王】ロボ・グレイハーゲン選手! Fランク剣士アシュレイ・ナヴュラ選手!』

 どうやら余ったのはエルフの青年のようだった。
 “当たり”を引いた本人は「お、ラッキー」など言いながら、観客席で黄色い声をあげる女性達に手を振っている。
 その腰には、2ふりの片手剣。

(一見ただの軽い優男に見えるが……強いな)

 流石にA系ランカーの集められた一次本戦を勝ち抜いただけのことはある。
 アシュレイと戦う狼人(ワーウルフ)も、既に獲物を狙うようなギラギラした目で彼のことを睨んでいる。

(好戦的な野生児か…実にイイね)

 僅かに殺気を込めた目で睨み返してやると、ニタァっと野蛮に笑った。



******



 結論から言うと、Aランカーは圧倒的だった。
 初戦のB+槍使いノーク対A炎魔道士アディアンヌ。近接職と遠距離職だから、いくらB+とAとはいえ多少はノークも奮闘するかと思えば。

「一瞬で終わらせてやるわ。≪三重展開(トライ)≫【最後の日の業火】」

 火属性最上級魔法の三重展開(トライ)一発。否、“一発”というには、語弊がある。正確には“三発”だ。
 ≪三重展開(トライ)≫。高等技術である≪二重展開(バイ)≫の更に上をいく魔法展開法で、1つの詠唱で3発を一気に発動させるものだ。当然放つ魔法3回分の魔力を消費し、かつそれに比例した技術相応の魔力も消費される。
 強力だが使用魔力も大きく身体に負担がかかる技術である。 しかもこの場合発動させたのは火属性最上級魔法。下手をすれば魔力の過剰消費で倒れかねない。そもそも並みの人間が持っている全てを振り絞ってもまだ足りぬ程の魔力を使用するのが最上級魔法である。それを
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