キャリバー編
百二十六話 対牛との戦い
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ノタウロスの体でバリッと電流が走った。
瞬間……
ズガァァァァン!!!!!
と、部屋全体の空気をビリビリと振動させる程の大爆発が巻き起こり、爆風と共に発生した業火が一気に金牛を飲み込む。
「ギュァァァァァァァアアアアア!!!」
「……ごめんね」
凄まじい悲鳴を上げる金牛の陰に少し悲しそうな顔をしながら、術者であるサチの周囲を包む焔の中で、彼女は小さく呟いた。その間にも、彼を包み込んだ液体が燃え盛り続けることで火達磨になった金牛は追加ダメージを受けつづけ、冗談のようにHPが減っていく。
液体を喰らう前はまだ四割あったHPが、あっという間に二割、一割……そして……
「モ゛、ォォォ……」
最後に牛っぽいような断末魔の声を上げて、金牛は全身を焔に包まれたまま爆散した。
「……ふぅ」
発生した大量のポリゴン片の中で、安心したように息を吐くサチを見て、メンバー全員が思った。
『『『『『『『『『『『よ、容赦ねぇ〜〜……』』』』』』』』』』』
以前、サチの二つ名を聞いた際、何人かのメンバーは疑問を持った。それが、サチには余りにも似つかわしくない、大仰な二つ名だったからだ。
しかし、今ならば、シノンもアイリも、そしてアウィンも、納得する事が出来た。
必要な状況で、多くの選択肢の中から必要な攻撃魔法を選択肢、使用出来る判断力と、それらの魔法の性質をよく理解し、記憶する知識。そして、それらをどう使う事でどう言う事が出来るかを判断できる、発想と工夫。
この余りにも的確に攻撃魔法を使う彼女の姿を、以前アインクラッド攻略の中で、ボス攻略戦の際に目にした誰かが、過去のRPGの中にあった攻撃魔法の使い手「黒魔導師」と掛けて、ネトゲ特有の厨二センスでこう呼んだのだ。
即ち……《黒魔女(シュヴァルツ・ヘックス)》と。
『と、とにかく、これで後は……!』
一瞬、サチの相変わらずの圧倒的魔法使いっぷりに圧されたキリトだったが、即座に気を取り直す。
これで後は自分達の得意な魔法耐性型の黒牛のみだ。そう思い、瞑想中の筈の黒牛の方を見て、気付いた。
つい先ほどまで其処で瞑想をしていた筈の黒牛が、その場所に居ない。忽然と姿を消している。いくら相方が居なくなったからと言って、逃げる訳は無い。ならば……と慌てて部屋を見渡して、頭の上のユイが、悲鳴じみた声で叫んだ。
「危ない!ねーね!前です!!」
「え?」
言われたサチが反応して一瞬キリトの方を向き、彼女の目の前に突如、巨大な影が現れた。何時の間にか瞑想を止めていた黒牛が、彼女の前まで接近していたのだ。
「サチっ!!」
「っ!」
すぐ隣にいたアスナがレイピアを抜こうと構えるが、間に合わないしそもそもレイピアでは受け止めるのは無理だ。サチが次の瞬間に来るだろ
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