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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第6話:被験体
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と、フェイトは苦い表情を
浮かべる。

「生物実験・・・」

そう呟いたフェイトは地面に目線を落とす。
表情を曇らせたフェイトの肩にゲオルグは手を置く。

「どうしたの、フェイトさん?」

ゲオルグに声を掛けられ、フェイトはハッと顔を上げる。

「う、ううん。 なんでもないよ」

首を横に振りつつそう答えると、フェイトはその顔に微笑を浮かべた。

「ところで、この後はどうするの?」

「ん? ああ、そうだね・・・」

そう尋ねられ、ゲオルグはフェイトの様子を不思議に思いつつも
これからの行動について考えを巡らせる。
1分ほど腕組みして考え込んでいたゲオルグは、考えをまとめ終えると
分隊員たちの方へ身体を向ける。

「この隔壁の奥はまだ調査できていませんし、研究員の生き残りがいる可能性も
 残っていますから、調査を継続します」

「了解」

分隊員たちの返事に頷くと、ゲオルグは隔壁にある小さな扉をあけた。
そこは、これまでの荷物搬入用通路とは異なりむせ返るような血の匂いが
全く漂っておらず、天井から床に至るまでが真っ白に塗装された空間だった。
いくつもの装置が立ち並ぶ中を歩いて行くと、ひそひそと何かを話す声が
ゲオルグの耳に届く。

[ゲオルグ]

フェイトからの念話にゲオルグはフェイトの方を振り返る。
そのフェイトは黙れ、と言わんばかりに右手の人差指を立てて口元にあてていた。

[今の、人の話し声だよね]

[そうだね。ひょっとすると生き残った研究員かも。探してみよう]

ゲオルグはハンドサインで分隊員たちに2名は自分に、2名はフェイトに同行し、
残りは待機するよう伝えると、奥へと進む。
研究員たちのためのものなのか、机が並ぶゾーンに近づくとガタっと何かが
床に落ちる音がした。
音のした方へ歩いて行くと、机の下に頭を抱えて座り込む白衣を着た2人の
研究員らしい女性を発見する。
ゲオルグがそのうちの1人の背中に手を置くと、女性の肩がビクっと大きく震え
怯えに満ちたその眼がゲオルグの姿を捉えた。

「いやっ! 殺さないで!! お願い!」

ゲオルグを見た女性はそう叫ぶと、肩を振るわせながら奥へと後ずさろうとする。

「安心してください。 僕らはあなたがたを救出に来た管理局の魔導師です」

「管理局の? じゃあ、わたしたちは・・・」

「ええ、もう大丈夫ですよ」

ゲオルグがそう言ってニコッと笑うと、白衣姿の女性はもう一人と目を見合わせると
抱き合って涙を流し始めた。





しばらくして女性たちが落ち着いたころ、ゲオルグは2人に事情を聴くことにした。

「それで、一体何があったんですか?」

ゲオルグが尋ねると、
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