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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第6話:被験体
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見えた。
ゲオルグはその山に向けて足を動かす。
そばまできて中を見ようと布の端に手をかけたとき、背後から声が響いた。

「分隊長! それはめくってはいけません!」

だが、ゲオルグの手は何かに操られるかのように布切れをめくっていく。
そして布切れの下にあるものを見た瞬間、ゲオルグの目は驚愕に見開かれる。

(これは・・・死体・・・なのか?)

それは何かによってずたずたに引き裂かれた人間であったであろうモノ。
ゲオルグがめくった布はよく見れば引き裂かれた白衣のようにも見える。

(うっ・・・)

ゲオルグは白衣だった血まみれの布切れから手を離すと、その場に膝をついて
へたりこむ。
そして催すままに胃の中のモノをすべて吐き出した。

『A01よりシャングリラ。 研究区画に侵入。 研究員の遺体を発見。
 何かに引き裂かれているようにズタズタにされてる。指示を乞う』

ヒルベルトからの通信がゲオルグの耳朶を打つが、内容は全く頭に入ってこない。
背後からひたひたと歩み寄ってくる足音がしたかと思うと自分の背中に
手があてられるのを感じた。

「大丈夫ですか? また、エライもん見ちゃいましたね」

そう言ってゲオルグの背中をさするのは、ルッツであった。
しばらくそうしていると、ゲオルグはようやく吐き気がおさまってきたのか、
ゆっくりと立ちあがる。

「すいません。 ちょっとびっくりしてしまって・・・。 行きましょう」

「・・・平気ですか?」

ルッツが心配そうに見つめるが、ゲオルグは小さく頷くと通路の奥へと足を向ける。
見れば通路のあちこちに先ほどと同じような遺体がところどころにあった。
ゲオルグはできるだけそれらを見ないようにしながらゆっくりと足を進める。

「これは・・・全滅でしょうか?」

「わかりません。 捜索もせずに希望を捨てるわけにはいきません。
 分隊を2つに分けてこの区画をくまなく捜索します。
 1隊は私が指揮しますので、もう1隊はルッツ曹長に指揮をお願いします。
 僕の方は区画の奥へと進みますので、ルッツ曹長は各所の捜索を」

ゲオルグとルッツは戦力の割り振りを決めてそれぞれの人員を自分の周りに集める。
区画の奥へと進むゲオルグの隊はフェイトやクリーグ以下10名である。

「僕たちはこれから区画の奥へと進み、生存している研究員の捜索を行います。
 研究員が死亡した原因が判っていませんので、十分注意して進みましょう」

ゲオルグの訓示に全員が頷く。
ゲオルグを先頭に通路を奥へと進んでいくと、やがて通路は突き当たる。
行き止まりにある小さな扉に向けて歩を進めようとした時、ゲオルグの耳に
周囲の警戒に当たっていた分隊員の悲鳴が届く。

「分
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