第四話
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俊司達が風見幽香を探していた。
「そういえば、あなたにこれを渡してませんでしたね」
映姫はそう言うと懐からある物を取り出し、俊司に差し出した。
「これは……俺の武器ですか?」
「ええ。生前にあなたが使っていた武器とスペルカードになります。さすがに丸腰ではつらいでしょう?」
「助かります」
俊司は武器とスペルカードを受け取ると、いつも通りの場所にしまっていった。
「変わった武器だねぇ? それともあたいみたに模造品なのかい?」
「ちゃんと使えますよ。今度教えましょうか?」
「それはまた今度にしてください。今はやるべきことに集中しましょう」
「その必要はないわ」
急に女性の声が響いたかと思うと、目の前の花畑からチェック柄の服を着た女性が現れた。
「誰かと思って来てみたら、地獄の閻魔様が何の用かしら?」
「久しぶりですね風見幽香。こっちはどうなんですか?」
「思ってるとおりよ。あいつらが来てバカみたいにやられてるだけ」
幽香はそう言うと、ゆっくりと息を吐いて日傘を閉じた。
「で? 閻魔さまがなぜ……死神と外来人を連れてるのかしら?」
「正確にいえば元外来人の亡霊ですがね。私達の目的はあなたに会いに来ただけ。ただそれだけです」
「へぇ……私にね?」
幽香はそう言うと頬笑みを返してきた。
「その前に一ついいかしら?」
「なんですか?」
「その子の顔見せてもらえる?」
「……周りに誰かいますか?」
「さっき追い払ったところ」
「ならいいでしょう。俊司君」
俊司は言われた通りフードをはずし顔を出す。幽香はまじまじと俊司の顔を見た後、なぜか笑みを浮かべていた。
「あなた……名前は?」
「里中俊司です」
「……好きな花はある?」
「花……ですか」
唐突の質問で一瞬呆気にとられた俊司だったが、なんとか思考を戻すと一番好きだった花言葉をもつ花の名前を口にした。
「グラジオラスですかね……」
「理由は?」
「花言葉が『努力』ですよね。だから……です」
「ふうん……」
幽香はその後、何も言わずに俊司を見つめると、何を思ったのか急に笑みを浮かべていた。
「いいわ。信用してあげる。あなた、ここに来る前に倒れた向日葵をなんとかしたでしょう?」
「えっ……はい。なんでわかったんですか?」
「ここの子たちが言ってるわ。花を大事にする子はこの子たちの味方。だったら、私の味方ってことよ」
そう言って幽香は再び日傘をさした。
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