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SAO─戦士達の物語
キャリバー編
百二十五話 女王の請願
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方位へと広がっている。


その根元には、丸太で組んだ家家の並ぶ、街が有った。それらは地上の央都アルンに、実によく似ていた。
ウルズはそんな風景をしばらく見入っていたメンバーに、少し悲しげな声で言った。

「ヨツンヘイムの更に下層には、霜と氷に覆われた国、《ニブルヘイム》が存在します。かつてかの地を支配する霜の巨人族の王、《スリュム》は、狼に姿を変えてこのヨツンヘイムに忍び込み、鍛冶の神ヴェルンドが鍛えた《全ての鉄と木を断つ剣》エクスキャリバーを世界の中心たるウルズの泉に投げ入れました。それは世界樹の最も大事な根を断ち切り、その瞬間、ヨツンヘイムから世界樹の恩寵は失われたのです」
そう言うと、ウルズは再び一つの光景を映し出した。
最早それはスペクタクル映画さながらの光景の一つと言えた。
突如中央の湖、《ウルズの泉》を覆っていた世界樹の根がのたうち、一気に天蓋へ向けて縮小していく。湖近くにあった家家はひとたまりもなく吹き飛び、あらゆる木の葉は落ちて、木は枯れ、光が薄れて川の流れる草原は枯れ果て霜が降り河は凍りつき、吹雪が吹いて景色が一変していく。
中央にあった巨大なウルズの泉すら一瞬で凍りつき、中から何体もの水生型邪神モンスターがはじき出される。トンキーのような象水母タイプもいるようだ。
世界樹の根の縮小は尚も止まらず、凍り付いたウルズの泉を絡め取って天蓋へと引き上げていく。そのままかつて湖だった氷塊は天蓋に食い込む。疑いようもなく、かつてウルズの泉だったそれはあのダンジョンなのだ。氷塊の尖端に光り輝く剣が見えた。
《ヨツンヘイム》と、《ユグドラシル》二つの世界を丸ごと切り離した、伝説にして最強の剣。《聖剣エクスキャリバー》

そうして全ての水が氷へと姿を変え、湖も川も消えた世界の中心、かつて巨大な泉であったそこには巨大な大穴。それは正しく、今メンバーの前に広がる、《ヨツンヘイム》だった。余りの光景に、これがゲームの一クエストであると言う事も忘れて無言なるメンバーに、ウルズは事の終わりを説明した。

この後スリュムが配下の《霜の巨人族》を引き連れ、大挙してヨツンヘイムに押し寄せ、多くの砦を築いて丘の巨人族を幽閉。ウルズと二人の妹は凍りついた湖の底に何とか逃げ延びた物の、既にかつての力は失っている事。
そしてかつて《ウルズの泉》だった氷塊に、《スリュムヘイム》を築き、其処に暮らしている事。
そして、もう一つ。

今行われている虐殺はスリュムが妖精達をだまして行わせている者で、目的はウルズの眷属である動物系邪神達を皆殺しにしてウルズの力を完全に失わせ、スリュムヘイムをアルヴヘイムまで浮き上がらせる事、かの王が抜けば世界樹の復活を赦し、スリュムヘイムを崩壊させるエクスキャリバーを報酬に与える筈は無く、限りなく近いが真の力は持た
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