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SAO─戦士達の物語
キャリバー編
百二十五話 女王の請願
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……ローブ風の衣装を身にまとった、金髪の美女へと変化した。
突如現れた超然とした美貌を持つ彼女に対し、クライン含む男性陣は一様に叫んだ。

「でっ…………けぇ!!」
そう。その女性は、リョウ達と比べるとかなりの大きさを持っていた。身長3メートル半と言ったところか。見上げるほどの美女は此方の第一声を気にした様子はない。荘厳な雰囲気を纏ったまま、ゆっくりと口を開く。

「私は、《湖の女王》ウルズ」
その言葉は、プレイヤーの物とは明らかに違う、良く響く、荘重な声として発された。

「我が眷属と絆を結びし妖精たちよ」
眷属……と言うだけに、どうやら女性はトンキー達の同類らしかった。と言うのも、彼女のふわりとした金髪も、根元は半透明の職種としてうねうねしているし、手足の先には鱗も見てとれる。元はトンキーと同じようなヨクワカンナイ系邪神で、今はこちらとズムーズに会話を進めるために、人間の姿として目の前に現れていると思えなくもなかった。
リョウは確か何処かの這い寄る混沌系邪神もそんな感じの邪神だったなと思って、SAN値が下がりそうなので考えるのをやめた。

「そなたらに、私と三人の妹達から一つの請願が有ります。どうかこの国を、《霜の巨人族》から救って欲しい」
ふむ。ともするとこの女性はクエストの依頼用NPCなのだろうか?こんな登場の仕方をするNPCは初めてだが……いや、可能性としては攻撃用Modのトラップと言う事もない訳ではない、注意しておくにこした事は無いか……そんな事をふーむ、と思っていると、丁度キリトの肩に、パタパタと小さな文字通り妖精が飛んで来た。

「パパ、あの人はNPCです。でも……少し妙です。通常のNPCのように固定応答のルーチンによって喋っているのでは無く、コアプログラムに近いエンジン・モジュールに接続されています」
「つまり……AI化されているってことか?」
「そうです」
コクリと頷いてユイは結んだ。リョウはその会話を聞きつつも、ウルズの言葉に耳を傾ける。彼女は右手で広大な地下世界を示すと、ゆっくりとした声で話し始めた。

「この、《ヨツンヘイム》はかつて、そなたたちの住む《アルヴヘイム》と同じように、世界樹ユグドラシルの恩寵を受けて、美しい水と緑に覆われ、我々《丘の巨人族》とその眷属たる獣たちが、穏やかに暮らしていたのです」
そう言ったウルズの力なのか、白い雪と氷に覆われた世界に重なるように、一つの光景が現れた。緑と、豊かな草木と花、そして清らかな水に満たされた、温かさのある世界だ。焼けた地平の続くサラマンダー領や、荒野ばかりのノーム領よりも自然豊かで、その世界に置いてはあの大穴。グレートボイドは巨大な湖となっていた。澄んだ水を何処までも湛えるそれに向けて、天頂から世界樹の根が伸びている。その先は湖に届き、全
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