暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
武装無能力者集団
Trick28_だから殺す
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のプライドが何とか冷静さを支えていた。

黒妻は先程までは金髪を殴りかかろうと怒りに満ちていたが、殺気を浴びて
体が固まり冷や汗を出している。
それでも殺気を浴びた直後には即座に戦えるように構えていた。
スキルアウトながら長年の戦いの経験からとった行動だ。

「こんな殺気を出して『殺す』なんて言ってるとまるで殺人鬼のようですの」

虚勢を張るように無理矢理、白井は言った。

「殺人鬼? 失礼だな、人を無差別殺人をするような鬼と一緒にしないでくれ。
 僕は理由なき殺人鬼じゃない。“理由ありきの殺人者”だ。

 リーダーに手を出させるわけにはいかない。だから殺す。
 ビックスパイダーを倒せる奴を弱い僕が倒せるはずがない。だから殺す。
 僕一人で5人も相手ができない。だから殺す。
 お金の取り立てのために早くこの戦いを終わらせないといけない。だから殺す。

 今日の朝日はとても気持ちがいい。だから殺す。
 朝ごはんの味噌汁がうまく作れた。だから殺す。
 昨日はいい夢が見れた。だから殺す。
 警備員がすぐそこまで来ている。だから殺す。
 朝は急いでいたから携帯電話の電池が切れそうだ。だから殺す。
 特に何もない。だから殺す。

 全ての道がローマに通じるように、僕にとっては全ての現象が殺人に
 繋がるだけなんだよ」


   異常

その場にいた者のほとんどが宗像に感じたことだ。

戦うどころか関わりたくもない。

殴ろうと活き込んでいた黒妻も、殺気のことは関係なしにそう思っていた。

「みなさん、下がっていてください」

信乃が安心させるために笑顔で言った。

「この異常者の相手は私がします。一切手出しはしないでください」

「君は友達をかばって前に出るなんて、君はきっと優しい子なんだね。
 とても仲良くなれそうな気がするよ。

 だから殺す」

いきなり2本の刀を宗像は握っていた。

「やってみろ殺人者。俺は殺されたくらいじゃ死なねぇよ。
 本気を出して相手してやる!」

持ってきた木刀を構えて宗像を見据える信乃。
その黒色の瞳には強い決意が宿っていた。



つづく

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