第一物語・後半-日来独立編-
第四十三章 秘めし決意《3》
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いたな、とレヴァーシンクは後ろに振り向く。
加護の発動のための準備に取り掛かっているニチアの下、青い光がより一層強くなる。
準備の方は進んでいるようだ。
見える防御壁により防がれる砲撃があちこちにあり、後から日来の周りを飛ぶ魔法術師達に加速機を狙われ、撃ち落とされている。
機動力が無ければ戦闘艦など、ただの鉄の塊に過ぎない。
落ちていく戦闘艦を横目で見て、表示していた映画面に文字を打ち込む。
「よおーし、準備完了。皆、いっくよ――!」
『コオ――ン!』
加護の準備が完了し、叫びニチアは目の前に一つの映画面が表示される。
加護を発動するか否かの確認をするものであり、肯と否のうち、肯の文字を押す。
社交院へと伝文|《メール》を打っていたレヴァーシンクは、その時だけは動かしていた手を止める。
ニチアの足元が光を放ち、徐々に光は強くなっていき、足元から青の線が甲板を伝い船首へと走った。
流れるように高速で青い線は船首へと向かい、辿り着いたならば、今度は船首から一本の極太の線が現れた。
極太の線は円柱を横に倒した形をしており、言うなれば極太の糸だろう。
それが空を駆け、辰ノ大花の空を行き、西貿易区域の真上へと伸びる。
敵味方驚いて、多数の者達は顔を上げる。
空に一筋の線が通っている。
見るやいなや、極太の線は多数、百六十本の青い線へと分かれた。
分かれた線はそれぞれが目的の場所へ目指し、行き、目指した場所は強化系加護の発動対象となっている者達だ。
線は対象者を見付けると、そこへ向かい行き、対象の身体へと繋がれた。
するとみるみる内に、対象者の様子が変わっていった。
まず初めに、身体が軽くなる感覚を得た。
一瞬ふわっとした感覚を得た後、身体の底から力が湧いてくる感覚を得る。
見事、強化系加護は成功したのだ。
ふう、と息を吐くニチア。
初めてこんなに多くの者達を対象に加護を発動し、貯蓄していた流魔と内部流魔を余計に食われたような気がした。
内部流魔を食われたせいか、身体が重くなったように思えた。
「うげええ、もう無理。やってられないいい……」
「価値あるものにはなっただろう。ご苦労だった」
「うん、ありがと。一応はもう私は用済みなのよね」
「やることはやってもらったからな。補佐は何も権限を持たないからな、後は好きにやればいい」
「そう言われても行くところ無いんだよね。だから、ここにいてもいい?」
アストローゼは構わないといった素振りを見せ、次にニチアはレヴァーシンクの方へと向く。
「ゼッちゃんは?」
「いたければどうぞ」
「ならいるね」
と返した。
当のレヴァーシンクは社交院宛の伝文を打ち終え、それを送信した。
作戦についてのことで、まさかの
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