第一物語・後半-日来独立編-
第四十三章 秘めし決意《3》
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、呆れるロロアは半目で映画面を見る。
向こう側ではむすっとしながらも、揺れる日来の上でロロアが加護の準備へと取り掛かっている。
まず生霊|《ナビ》を出し、加護発動のための準備に取り掛かった。
●
日来の中央前方船・明石の船首近くにいるニチアは、離れた場所にアストローゼとレヴァーシンクを置き、加護発動のための準備をしていた。
加護の発動は系術の発動と違い、全てがすぐに発動出来るものではない。
加護は加護でも少数を対象にするか、多数を対象するかで発動に要するに時間は違う。
後者の方が遅いのは、考えれば分かることだろう。
今回は南側に向かったうちの八十八名と、東側に向かったうちの八十名。
計百六十名もの人員に、ニチア一人だけで強化系加護を行き渡す。
普通ならば無理だが、生霊がいればそれは別だ。
生霊は言わば援助や支援など、飼い主のサポートをしてくれる。
流魔から生み出された存在であり、他のものと違うのは身体そのものが流魔だということだ。
基本、この世に存在するものは流魔が原子と言うものになり、その原子が全てのものをつくっている。
が、生霊は流魔が何も変わらず、流魔そのままで構成されている。
感触や温度は感じ取れるものの、それは生霊を構成する流魔が内部流魔に干渉するためである。
生霊は言わば煙と同じだ。
何も無いところから現れ、そして何も残さず流魔へと戻り消える。
急に生霊が現れるのは身体を構成するものが、変化の無い流魔だからであり、逆に流魔へと戻ることも出来る。
狐型の生霊であるウタタネを頭に乗せたニチアの足元は、薄く青く光を放つ。
「ウタタネ、皆の座標確認するから表示お願い」
『コン!』
鳴いて、ウタタネは頭の上で一回転。
着地と同時にニチアの正面に映画面|《モニター》が現れ、それは西貿易区域を簡略化した図であり、仲間の位置が赤の点で示されている。
これを見て、仲間の位置を捕らえる。
「いけそうか?」
言うのはアストローゼだ。
眼鏡越しに彼を見て、頷く。
「大丈夫かな。皆まとまってくれてるし、手間は掛からなそう」
「西側担当の学勢は敵に圧倒されて貿易区域に近付けない状態だから、そのまま敵を引き付けていた方がいいね。北側は担当の社交員から黄森の覇王会隊長と副隊長と交戦中だって連絡が入っていたみたいだから、そっちの対応はどうするのかな。社交院は」
「予想はしていたが、黄森の天桜学勢院覇王会の実力は神州瑞穂トップだぞ。まだ若いゆえに未熟だが、実力は大人顔負けだ」
「北側には葉木原がいるからすぐにはやられないと思うけど、万が一のことも考えた方がいいよね」
「こらこら、私が頑張ってるのに関係無い話しはやめてよ。集中しないといけないんだなら」
そういえば
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