第一物語・後半-日来独立編-
第四十三章 秘めし決意《3》
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がら、
「持ってきた流魔結晶の残りが心細いんですよねえ。後どれくらい続くんでしょうか、この戦い」
「天然ものの流魔結晶とは違い、神によってつくられた流魔結晶は持ちが悪いからな。何、結界を壊してしまえば後は長の役目だ」
「ですけど、そうなったら防衛戦ですよね。長守るために」
「まあ、そうなるだろうな」
皆が行くなかで、二人は話す。
先行しているのはルヴォルフと空子であり、運動系の者達が後に続いている。
自分達は彼らよりも後方で、皆よりも比較的遅い足取りで行っている。
まず歩行系機竜は歩くのは鈍い、空は飛べないと移動能力が最悪だ。
その代わりと言ってか、攻防面での能力は飛行系よりも高いが。
ロロアは別に鈍いわけではないが、防御担当のため先行してもあまり意味が無いためにトオキダニと一緒にいるのだ。
「前払いを行える筈だが、やってないのか?」
「やってるんですけど、固い防盾出す系術って即時払いが多いんですよ。だからか固いわりには消費する流魔は少ないんで経済的には助かってますけど」
「それは良かったな。ん? どうやら先行していったルヴォルフ達が結界に辿り着いたようだ」
ここからまだ数百メートル先。
空には結界へ到着したことを示す、芸能系術による黄色の煙が上がっている。
これから大仕事だ。
結界の自壊は多方面から一斉に、強烈な攻撃を叩き込む必要がある。
なので一方向から攻撃しても意味が無く、もし他方面に仲間達が着いていなければ、それは自壊すら無理だ。
せめて三方向。
学勢達は西と南。自分達は南だ。
社交員達は東と北だ。
上げた煙は相手にもその意味を悟らせるため、時間を掛けてしまうと周りを敵に囲まれる恐れがある。
しかし、南以外に煙は上がっていない。
いけるのか、と不安が過る。
だがこんな不安を消すように、東側に煙が上がる。
同じ黄色の煙だ。
他はどうしたのかと、西と北を見るが煙は上がらない。
そして以後、上がることはなかった。
「ここ南と東の二方向だけですかあ。多方向からの攻撃が必要なのに、これは少し厳しいですね」
「竜口砲|《ドラゴンブレス》を再び放つには時間が掛かるぞ」
「連絡すればニチアが強化系加護で援護するとのことですが、嫌な予感しかしないんですよね」
「金を取る気満々だろうな」
「……ですよね」
はあ、とロロアはため息を付く。
何故かというと、金に困っているからだ。
両親とは離れて暮らしているため、幾らか現金を頂戴しているのだが乏しいものだ。
家庭の事情もあるため贅沢は言ってられず、出来るだけ自分が掛け持ちしているアルバイトで稼いだお金で日々を過ごしている。
頼み込めば、ニチアも鬼ではないので他のものを寄越せと言ってくれるだろう。
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