第一物語・後半-日来独立編-
第四十三章 秘めし決意《3》
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相手が強かろうと進んで行く。
それを胸に秘め、入直は乱舞のなかにいる。
相手の騎神による斬撃と火炎ノ緋翼による斬撃が噛み合い、冷たい音を響かせる。
もう一分あるかないか。
ラストスパートを掛けなければ、自分は時間負けになる。
やらなければならない。
「いけえええええ――!!」
『ううおおおおお――!!』
互いの闘志は燃え、両方とも引けを取らない戦いを繰り広げていた。
大気が動く程の激しさで、風を切り、ぶつかり合う。
「左だ!」
『ピ――ヒョロロ――』
火炎ノ緋翼は鳴き、左へと炎熱火剣を振る。
すると相手が握る流魔刀とぶつかり、重量から来た衝撃でそれを跳ね返した。
感覚が鈍く通じているのを感じながら、入直は流魔刀の軌道を読む。
火炎ノ緋翼は自己判断出来るのだが、それに頼らないのは入直なりのプライドからだ。
今、火炎ノ緋翼は自分が不甲斐無いばかりに負傷させてしまい、機体が酷く破損している。
頼るのではなく頼られる方になりたいからでもあり、誰かに頼るならまだしも甘えるなど出来無い。
男勝りと言われるのは、一人でなんでもやろうと生きて来た結果だろうか。
『片方だけに集中し過ぎた』
「分かってるさ。流魔刀はまだ、その全てが独自に動く。注意は怠ってないさ」
既に左腕は無いのに、右から来た二本の流魔刀を加速機を噴かし、機体を地面に落とすことで避ける。
そのまま火剣を火砲へと変え、何回目かの砲撃を叩き込む。
『そう何度も同じ攻撃が通じるか――――!』
「馬鹿なっ!?」
砲撃ギリギリ、機体を逸らして突っ切った。
顔面すれすれだったために頭部は溶けてるが、支障は無く突き進んで行く。
『食らえ――!』
左側に回避した騎神は、右手に握る流魔刀を振り上げた。
振り下ろせば一直線。火炎ノ緋翼を真っ二つに出来る、機体の中心を捕らえていた。
片腕分の重さが無くなったからか、戦竜の動きは初めと比べて早くなっていた。
このままでは負けると判断した入直は、加速機を再び噴かしその攻撃を回避したが。
まだだ。
自動で攻めて来る流魔刀が、まだ三本も残っている。
案の定、予想は当り、二本の流魔刀が左右一本ずつ、旋回しながら来た。
ここで砲撃を放つのもいいが、それでは後から迫る騎神の対処が難しくなる。
だからここは砲ではなく剣により、弾いて防ぐことを選んだ。
火砲は火剣へと変わり、赤の刃を現す。
「行けるね、緋翼」
問い、返事は返って来なかったが解っている。
二本の流魔刀は特に離れているわけではなく、一撃を叩き込めばそれで充分だと思われる。
よって一撃を放ち、見事流魔刀は二本とも外側へとずれるように弾かれた。
そして流れるように来る騎神の追撃も、難なく炎熱火
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