第二十話 復活 後編
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
side 遼
氷の盾を砕かれて、胸のあたりで嫌な音がする。
流石はロストロギアというべきか、アリシアの攻撃は予想を大幅に上回った。
ただの殴る蹴るにフザケた量の魔力が注ぎ込まれている。
私も盾を魔法で強化していたが、アリシアの前では全く足りなかった。
結果、私は盾を砕かれてアリシアの攻撃をその身に受ける。
右手のノートゥングは砕かれ、左手も盾を持ち続けたせいで多分どこかイカれてる。
(遼!?)
クリムの声が聞こえる。
彼女が防御魔法を発動しているが、おそらく間に合わない。
(まずったなぁ)
油断しているからこうなる、私は深く反省した。
アリシアが腕を引き抜き、もう一撃を加えようとする。
今からじゃ『鎧』の発動も間に合わないし、海中じゃ『炎』も使えない。
(ああ、嫌だなぁ)
痛みが限界に達し、意識を手放しかけたその時だった。
『シグルドさんはまだ戦ってる! 全部知ってたはずなのに諦めてない!』
その声が、私の意識を呼び戻す。
(ふふ、ふふふふふふ、……そんなこと言われたら、引き下がれないじゃない!)
私は全身に操作魔法をかける。
この前練習して、酷い副作用が出たアレだ。
これなら、アリシアの攻撃を全て防げる。
目の前には既にアリシアの右腕があった。
その腕は私の頭を砕くために、途方もない程の力がこもっている。
(私は、こんな所で死ねないのよ!)
瞬間、私の風景が灰色に染まる。
海も、光も、アリシアも、全てが灰色の世界。
全てが遅くなるその世界に、私はいた。
だが、今の私にそんなことなどどうでもよかった。
私はアリシアの右手を払い、左手で思いっきり殴りつける。
少し嫌な音がしたが、アリシアは吹き飛び、私から離れる。
(残り約四分、だけどそんなに戦ってらんない)
私は剣を収め、右手に魔力を集中させる。
これは虚刀流『鏡花水月』と私の凍結を合わせたミックス技。
普通なら殺してしまうけど、アリシアなら大丈夫だろう。
アリシアはその本能からか、技を出させまいと私に突撃してくる。
だけどもう遅い。
これは構えた時点で完成している。
(一撃必殺の、氷花水月!)
その一撃が、アリシアの胸のあたりにめり込む。
流石に左手ほどじゃなかったが、それでも少しばかり痛い。
だが、相手はそれ以上のはずだ。
アリシアが海面に向けて、凍りながら吹き飛ぶ。いくら兵器と言っても年下の少女の体ではあの技は受け止めきれない。
氷花水月は鏡花水月をぶつける
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ