暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
歩き出す者達
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即答したレンの頭をぽんぽんと叩き、ヒスイはやっと自らの領主アリシャ・ルーに向き直った。

「まぁったく、アリシャちゃん。あんたはホントに巻き込まれ体質やねぇ。あんさんの失敗でウチらが動くのは、これで何回目なん?」

「悪かったヨー。堪忍して、ヒスイちゃん」

ぱん!と両手を合わせて平伏するアリシャ。こう言っちゃ何だが、全く反省と言うものが感じられない。その証拠に、尻尾がフリフリ動いている。

同じことを思ったのか、ヒスイもふぅ〜、とため息をつく。

そして、あごを背後に控える己の巨狼にしゃくる。

「ほら、乗りぃ。送ってったるさかい」

何の気負いもなく言ったその後に、ヒスイは隣のシルフたちにも視線を向ける。数秒後に、再びのため息を挟みながら無言で再度あごをしゃくる。

「しかし、いいのか?」

「しゃーないやろ。これも助け合い、や。同盟結ぶ時に、この事でイチャモン付けられたら叶わんからなぁ」

「……感謝する」

サクヤは再び、深々と腰を折る。それを見ていたアリシャがぱちんと指を鳴らして、部下達に合図した。たちまち大テーブルと十四脚の椅子がてきぱきと片付けられていく。

片付けが終わったのを見届けた時には、もうリーファ達以外の全員は巨狼の背につかまっていた。シルフ族のプレイヤー達は全員、おっかなびっくりという風だったが。

「何から何まで世話になったな。きみの希望に極力添えるように努力することを約束するよ、キリト君、リーファ、レン君、カグラさん」

「役に立てたなら嬉しいよ」

「連絡、待ってるわ」

「まったねー」

「よろしくお願いいたします」

サクヤは一つ、力強く頷いた。

「アリガト!また会おうネ!」

アリシャは悪戯っぽく笑うと、リーファに向かって───どういう意味なのか───ぱちりとウインクした。その隣で、ヒスイが口を開く。

「はーいはい、別れの挨拶はそこまでにしときぃ。しっかり掴まっとかんと、振り落とされるで」

かなり恐ろしい警告を聞き、全員が慌てて体毛を引っこ抜かんばかりに身を伏せる。巨狼達が苛立たしげに、唸り声を上げた。

全員が最後に頷き会って、レン達は三歩ほど下がる。一瞬の刹那の後────

ッッッッバシュッ!!

幾千の小石が地面を叩くような凄まじい音とともに、ぶわっと土煙が顔を叩いた。

思わず目を細める一同。

目を開けた時には、三十を越える漆黒の巨狼の姿は幻だったかのように跡形もなく掻き消えていた。

「す、すげぇ………」

「あれが、フェンリル隊……」

呆然と呟く二人に、どこかドヤ顔でレンは言った。

「あそこまで育てるのは大変だったよー。あの数のフェンリル・ラウンダーをテイムするのは、
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