第三十六話 少年期R
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するとどういう意味?」
「関わっても碌なことにはならない」
そう言いながら、普通に金魚すくいしているエイカ。例の金魚が一瞬動きかけたが、すぐに去っていった。まさかエイカが女の子だと一発で見分けたのか。ちょっと畏怖を感じてしまった。
「懐かしいな。2年前に夢に破れ、のどかな牧場で傷を癒していた俺が、ふと子どもの声が聞こえたと思った瞬間、神隠しに突然あった時はどうしようかと思ったな。だが、そのおかげで相棒に出会うことができた。人生何が起こるかわからないものさ」
「さっきは聞こえなかったことにしてましたけど、神隠しってやばくないですか。普通にホラーですよ」
「当時は何かに巻き込まれたのかと思ったが、場所が移動しただけだったみたいだからな。もしかしたら次元が歪んでいたのかもしれない。何があるかわからない時もあるから、坊やたちも気をつけろよ」
色々ツッコミどころのありすぎるおじさんだけど、悪い人ではないのだろう。友人から聞くには、これはこれで人気のお祭りスポットらしいし。なんでもリピーターがかなりの数いるみたいだからだ、男の。さっきのポイに穴をあけられたカップルらしき男性が、すごい真剣な顔で金魚すくいに挑み続けている。そりゃなんか悔しいよな。
そんな敗北した男たちが毎年列をなして金魚すくいに挑みに来ているらしい。その金魚無双の噂を聞きつけ、猛者たちが集う。これおやじさんと金魚の計画逆に破綻してね? 己を鍛えるためにと管理局員やら教会の騎士さんたちも訓練感覚で訪れるらしい。金魚すくいってなんだっけ?
しかし、確かにこの金魚無双を止めたい気持ちはわかる。俺もそれなりに火が付いたのだ。これは男としての戦いなんだ。俺はもう一度おじさんにお金を払い、ポイを片手に気合を入れる。やつはいつどこから襲いかかって来るかわからない。隙ができればすぐにでもやられるだろう。なるほど、この緊張感は今までに感じたことがない。俺はごくりと唾を飲み込んだ。
俺はまだやつのスピードを捕らえることができていない。なら受け身で待ち続けるより、ここは攻めの一手を投じるべきだろうか。カウンターを返すにしても、この防御力ではすぐに破られる。ならば、やつのホームへと自ら向かっていくしかない。他の金魚に紛れ、息を潜め気配を絶つ相手。なんて強敵なんだ。
「くっ、いいだろう。その誘いにのってやろうじゃねぇか!」
「お、お兄ちゃんが燃えている」
「なんて男同士の熱い展開……!」
「相手金魚なんだが」
「来たな。くらえェ!」
『―――ふっ、残像だ』
「なん…だと……」
「あ、あぁ! お兄ちゃーん!」
「俺は負けたのか…。だけど、このままじゃ諦めきれねェ! 必ずお前を超えてみせる!」
「こ、これが本で見たライバルフラグってものなのね!」
「相手
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