第三十六話 少年期R
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ゃんも混浴したかったが、だめだった。最近の温泉には存在すらしていないんだ」
「誰もおやじの話は聞いてない」
まさかこの人、魔法か何かでポイに穴を開けた? だけど魔方陣は展開しなかったし、魔法もそこまで万能じゃない。それにそんなことをしたらさすがに詐欺になってしまう。だとすると、本当に男のポイはやぶれるという怪奇現象が実在するというのか。
「おやじさん、相変わらずですねー。師匠も元気そうだし」
「おい、少年C。まさかお前が言う師匠ってポイに穴開けている正体か」
「え、おう。アルヴィンも会ってみるか?」
そう言って、おやじからポイを一つ受け取る少年C。俺は正体を見極めるために目を凝らしてポイを見つめる。さっきの俺と同じように水につけようとした瞬間、それは現れた。静かな水面から突如水飛沫をあげて飛び上がり、ポイの中を貫通して去っていった。
目で追いかけることすら困難な早業。だが確かに俺はその正体を見極めることができた。単純だ。おやじさんは何もしていない。あといるのは金魚だけだ。逃げ惑うことしかできないはずの金魚たちだけ。だがそれが間違いだったのだとしたら。逃げ惑うだけが金魚でなかったのだとしたら。
「し、進撃の金魚だと…」
怪奇現象の正体は金魚だった。新たに金魚すくいをするために入ってきたカップルのお客さん。その男性のポイだけ狙って突撃していた。女の人はそのまま楽しそうにすくっており、男の人は呆然と突如やぶれたポイを見つめていた。
間違いない、あの金魚は男のポイだけを狙ってやがる。あいつ以外は地球の金魚と変わりなさそうだが、あの金魚には確かな意思が見えた。雨パに大切な特性のようにすいすい泳ぐやつと、俺は一瞬だけ目があった。
『はっ、男は全員どっかいけ』
「…………」
おい、こいつ金魚じゃないだろ。あれは金魚っていうかわいらしいカテゴリーに入れたらあかんやつだろ。見た目は金魚だけど、絶対何かおかしいだろ。少なくともこのおやじさんと意気投合できそうな性格っぽいのはわかった。
「あの、おやじさん。あの金魚なんですか。金魚にチートつけてどうするんですか」
「俺の相棒さ。女性という神秘をともに分かち合おうと誓い合ったな」
「すいません、他に会話ができる人はいませんか」
少年Cが手を挙げてくれた。金魚を師匠と呼ぶやつだが、一応話は聞こうと思う。
「去年初めて会った時に教えてもらったんだけど、師匠はかなり辺境の水の中で暮らしていた新種だったらしい。そこにたまたま神隠しにあったおやじさんが現れて、連れて帰ったんだってさ。萌えというものに共鳴し合った2人は、女の人と自然に接点を作れる方法を考えた。そして、それを実行するために金魚すくい屋を始めたって教えてもらった」
「エイカ、要約
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