第十一話 変革の予兆
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プラントの一角にあるゲルググの開発部は現在てんやわんやの状態であった。配備の遅れているゲルググ、新しく追加されていく設計書、新型機の性能実験、ミネルバなどから受け取った実戦データ改修、動いてない人間などおらず、誰もがせわしなく働いている。
そんな中で開発主任であるクラウ・ハーケンはいつものように眠気覚ましの不味いコーヒーを飲みながら、一つの報告に目を丸くしてた。
「出撃した三機ともが大破ぁ?」
先行配備させたゲルググF型の三機、しかも内一機は隊長機だ。にも拘らずそれが一機も戻ることなく全滅したとの報告を受ける。
「はあ、全く……ただでさえ配備が遅れてるのを無理矢理要請するから用意させたゲルググだってのに、どういうことだよ」
うんざりと溜息をつきながらデータを纏める。配備が遅れているのは別のものを造っているという理由があるが、だからといってそれが配備を遅らせていい理由にはならない。
「仕方ないか……データの方もないってことだしF型に関しては追々ってことにして先に他の奴を完成させるか。新型のテストにマーレ―――っていないんだったな。仕方ない、俺が乗るか」
そういったとたん、忙しかった室内が静まる。
「どうしたんだ、お前ら。さっさと仕事に戻りなよ」
「は、はい!?」
先程の空白が無かったように喧騒が戻るが、先程とは明らかに違いがみられた。
「―――何なんだ?」
そう疑問を出しながらも彼は機体のテストの準備の為に開発部から出ていく。テストをすると言って当然、すぐにテストなどできず、前持った下準備が必要だ。その為には色々としなければならず、仕事が滞るな、と思いつつ彼は移動していった。
◇
主任がテストの為に仕事をしばらく休むこととなった。開発部の殆どの人間は今すぐデータをかき集めるために機材を用意しだす。動いてないのは彼のテストを見たことがない新しく入った人達だけだ。
普通、開発者が直接機体を乗り込むことは滅多にない。開発者自身がその機体の特性を知っていても使いこなせない人間が殆どだからだ。例えるなら一流の監督やコーチが一流の選手になれるわけではないと言った所だろうか。一定以上の実力は必要だが、監督としての素質に選手としての素質は必要というわけではない。それと同じことだ。
だが、この開発部の主任であるクラウ・ハーケンは一流の開発者でありながら一流のパイロットだ。何より驚くべきは熟練したその腕。単なるエースではなく、培ってきたであろう力強さがあるのだ。そして、開発者である以上、機体の特性も把握しており、十全にその機体を使いこなす。
彼の操作は録画機一つで取るだけでも研究する余地があるものだった。
「全員、用意はいいな。仕事に関しては急を要するモノ以外は置い
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