プロローグ
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本来存在し得なかった第八のクラス、ラバーの召喚を成し遂げ、その圧倒的な力でたった一日で他の全てのサーヴァントを葬り去ったという話だ。だが、ラバーのすさまじい力で、聖杯を現界化させるのに必要な器″が壊れ、結局第三次聖杯戦争は失敗に終わった。
「ラバーの正体、それは女神″です」
「愛を体現した超状的存在」
(なるほど、そこまで掴んでいる訳か。では上層部は、どうするというのだ。主なる我らが神以外を神と認めぬ教会が、女神に対してどう動く?)
表情を変えずに言峰は少女に先を促す。
「サーヴァントの召喚には、ゆかりの品等の繋がりのあるものを魔法陣に供えることで、特定の英雄を呼びだすことが可能です。第三次において、アインツベルン家が使用したのは、永久凍土から発掘され当家が回収した氷付けの女神″であると推測されます」
「地上に残された眠れる女神」
「それは、第三次以降氷付けの女神″が消失したことから推測出来ます。むろん、アインツベルン家は、奥に閉まっているだけだと白を切っていますが、それまでずっと感知で来ていた反応そのものが、第三次から途切れているのです」
「明らかにあやしい」
「結論を言えば、教会は女神に影響された聖杯、言うなれば女神の聖杯″の確保を決めました」
「確保して研究三昧」
言峰は眉をひそめた。
「破壊ではなく確保? 教会が、主以外の神を認めるということですか? いや、そんな事はありえませんね」
少女達が、ふふっ、と笑った。
「もちろんです。聞くところによると、異端審問の例の厄介者達が、無理を押し通したそうですよ」
「格好の研究材料。女神は最高、実験体として」
「それでですね、破片の調査で分かった、血で力が減じるというのを、極力避けるために、マスターの殺害禁止が決定されたのです。おわかり頂けましたか?」
「なるべく完全な状態で確保したい、それが厄介者達の言い分」
(そういうことか。なら、おそらくは……)
胸中の疑問に答えを得て、言峰は次に下されるであろう指示があらかた予想できた。
「そこでですね、今回再び聖杯戦争の参加者に選ばれたあなたに、教会より聖杯確保の任が下されました。という訳で、今回のルールを順守して、我らが教会へのお勤め、よろしくお願いします」
「あなたの腕の見せ所」
言峰は、予想通りの命令を二つ返事で引き受けた。
(これは好都合だ。奪還の任がわたしということであれば、少女の願いの成就を教会に邪魔されることはない。やはり、これも主のお導きというものなのであろう)
輝日東教会を出て、教会の用意した住まいに向かって歩きながら、言峰は胸の高鳴りを感じていた。
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