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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
The PIED PIPER of HAMERUN D
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広場の中央へとたどり着いた。

そして、そこにはドレスを着て、腰に笛を下げ、赤い靴を履き踊っている女がいた。

「確認の必要もないだろうが・・・あんたがダンスだよな?」
「ええ。私がダンス。」

ダンスは踊り続けながら答える。

「敵が来たってのに、呑気なもんだな。」
「呑気?それは違うわ。これが、私の役割だもの。」

一輝が首を傾げると、女の前に置かれていた本が輝き、少しはなれたところでシュトロムが召喚される。

「へえ・・・踊りによる悪魔の召喚か。」
「そう。だからこそ、私が適任だった。私は、踊りをやめられないから。」
「・・・そうか。オマエは・・・」

一輝は何かに気づいたようだ。

「さて、それではお前を倒すとしますか!」

一輝は腰の刀を抜き、ダンスに切りかかる。だが・・・

「!?」

思いっきりきっても、踊ることをやめない。

「無駄よ。これは私の体がどうなろうと関係ない。」
「そうか・・・呪いだったな。」

一輝はこの手の攻撃が無駄だということを悟る。

「なら・・・これならどうだ?」

一輝はバタフライナイフを取り出し、腰の笛に投げる。

そのままナイフは笛のほうに飛んでいき、笛を砕いた。

「へえ?そこに気づいたんだ。」
「ああ。おまえはハーメルンの笛吹きには登場しない。だから、召喚には触媒が必要だったんだ。そうだろう?カーレン。」

一輝が言っているのはハンス・クリスチャン・アンデルセンの作品、赤い靴に出てくる女性のことである。
この話は、女性が赤い靴をはいたら体がひとりでに踊りだし、靴も脱げなくなる。最終的には首切り役人に足首ごと切り落としてもらう、というものだ。

この童話はハーメルンの笛吹きの伝承の一つ、ハンチントン舞踏病がモデルだといわれている。

実際に、目の前にいる悪魔も赤い靴を履き、踊り続けている。

「ええ。そうである以上、私は消えるのでしょうね。」

ダンス・・・いや、カーレンはそう言いながら、足首から下をはずす。
そして一輝のほうを向く。

「さて、消える前に最後の観客様と私の主にお礼を述べないとね。」

ダンスはドレスのスカートをつまみ、一礼をする。

「ご観覧、ありがとうございました。」

一輝はすっきりとする終わり方にほっとするが、それもつかの間に、シュトロムを召喚していた魔道書が思いっきり輝く。

「・・・これは?」
「私の最後の悪あがき。」
「せっかくいい感じだったのに・・・」

一輝はがっかりしている。

「では、さようなら、一輝さん。」

その間に、ダンスは光の粒になって消えていった。

「はあ・・・ま、仕方ないか。」

一輝は自分の前後から向かってくるシュ
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