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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
The PIED PIPER of HAMERUN C
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、音央は茨を操り、鳴央は自分の周りに野球ボールくらいの大きさの黒い球体を無数に作り出し、シュトロムたちへと攻撃を開始する。

「スリーピングビューティー!」
「アビスフォール!」

音央が空を飛びながら、茨で縛り上げ、ぶつけ、破壊していく。

鳴央が自分の周りの黒い玉を飛ばし、シュトロムを喰らっていく。

一輝は、何も出来ずただその光景を見ていた。

《せっかく、守るための力を手に入れたのに・・・》

自分は何も出来ず、仲間が傷つくのを、見る。

《自分が守られててどうすんだよ・・・》

何も出来ない、自分の現状を見る。

《俺は・・・もう二度と大切な人を、仲間を、居場所を、失わないんじゃなかったのかよ・・・》

そして、自らの欲望を、願う。

《チカラが欲しい。仲間を、大切な人を、居場所を、全てを守れるだけのチカラが・・・欲しい!》

《ほう・・・チカラを望むか、小僧。》

その声は、一輝の中から、響いてきた。



       ==================



急に響いた声に驚き、目を開けると、そこは何もない、ただひたすらに暗い空間だった。

「ここは・・・?」
「おぬしの中の檻じゃ。」

先ほどと同じ声が背後から聞こえ、振り向く。
そこには、着物を着た、頭の長いお爺さんが立っていた。

そして、一輝にはこのお爺さんが何者なのか、心当たりが有った。

「あんたがぬうりひょん・・・いや、ぬらりひょんか?」
「うむ。今はその名で呼ばれておるのう。」

当たりだったようだ。

「しておぬし、先ほどチカラを望んだな?」
「ああ。」
「じゃから、わしはおぬしを呼び出した。」
「チカラを、くれるのか?」
「うむ。それがわしと、おぬしの先祖との契約じゃからのう。」

ぬらりひょんは、そこで初めて、一輝と目を合わせる。

「ただし、対価をいただこうかのう。おぬしは何を出せる?その覚悟に見合ったチカラを、くれてやろう。」

その合わせた目は、一輝を見定めようとしていた。
いや、ぬらりひょんの目だけではない。その場の360度全ての方向から、一輝を見定めようという視線が向けられている。
一輝の中に封印されている妖怪の、魔物の視線を、向けられる。

「俺は・・・」
「悩んでおるか。まあ、仕方のないことではあるな。ちなみに、おぬしの父親は自らの体を差し出した。じゃから、あやつの体はだんだんと妖怪に近づいていった。」

一輝はその言葉を聞き、どうするのかを決めた。

「俺は・・・オマエたちには何も差し出さない。」
「ほう・・・なら、チカラはいらんのか?」
「いや。俺が守りたいのは今だ。なのに、自分の体が妖怪に変わっていったら、困る
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