第十話 アスランの立ち位置
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アスラン・ザラがこの艦に同乗することになり、艦長であるタリア・グラディスはアスラン・ザラ同様フェイスに任命された。
そして、アスラン・ザラの同乗には様々な感情が広がっていく。ルナマリアやメイリンといった若い女性陣は憧れや興味といったミーハーめいたものを、副館長のアーサーやヨウラン、ヴィーノといった整備士はフェイスに対する純粋な尊敬を、パイロットのショーンやデイルは命令されたり、まともに連携が取れたりできるのかといった不安が、シンは軍に戻ってきたことに対して複雑な感情を、マーレやタリア、当の本人であるアスランといった比較的冷静な人達は騒がしくなったクルーに対して少々呆れを見せていた。
「全く、前大戦の英雄ってだけでこれ程盛り上がれるもんなのかね?」
セイバーのコックピットを覗き込みながらマーレは今一理解できないとばかりにアスランに尋ねる。
「さあ、俺にもよくわからないな。大体、英雄なんて担ぎ上げられたくもないし」
そう言いながらアスランはセイバーをコックピットで整備し、もう一つ不可解な疑問を口にする。
「それで、なんでマーレは俺の所に来てるんだ?俺は嫌われてるとばかり思ってたんだが……」
ナチュラル嫌いの彼がナチュラルにうつつを抜かしている(アスランとしても否定しにくい)彼の傍に何故いるのかが今一よくわからない。とはいえフェイスという立場に委縮せず対等な口を利くマーレはある意味、気が楽で、その上女性陣の積極的なアプローチも避けられるからこちらとしてもありがたいものだが。
「別に大した理由じゃねえよ。騒がしくない所を探してたら自室か艦長室、後ここ位しかなかっただけだ。騒がれてる本人のとこに来たら騒がしくないなんざ、まるで台風の目だな」
溜息をつきながら嫌々そう説明するマーレ。実際にアスランに対してあまり好意的な感情を持っているわけではないのだろう。言葉の節々には少しばかり皮肉めいたものがある。
「悪かったな、俺のせいで騒がしくて」
「全くだな―――」
笑いながら同意をするマーレ。少しムッとするが、その笑いからして冗談なのだろう。何だかんだ言ってナチュラル嫌いを除けばいい奴なのだろうと思う。そのナチュラル嫌いが度を越しているせいで親しくしたがらない人が多いのだろうが。
「ま、何はともあれ明日にはこの艦も出航だ。インド洋位は無事渡れるといいんだがな」
そう言いながらセイバーのコックピット周辺でマーレはアスランとしばらく雑談を交わしていた。
◇
ミネルバがボズゴロフ級潜水艦ニーラゴンゴと共にインド洋沖を移動していくと敵の部隊が現れた。
「一体どこから?」
「まさかミラージュコロイド?」
「海で?ありえないでしょ」
アーサーがミラージュ
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