第十話 アスランの立ち位置
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て行動の自由を持ち、その権限は通常の部隊指揮官より上位みたいで作戦の立案及び実行の命令権限までも有している、らしいですよ」
「げえ、マジで凄いじゃん、それ」
「だからそう言ってるじゃない。それなのにシンってば突っかかっちゃってさ」
「お、何々?シンが構ってくれなくてご立腹ってやつ?」
「いいな〜、青春してんな〜」
「そんなんじゃないわよ!!」
「「あ、はい。すいません」」
ルナマリアが思わず激怒し、二人は同時に謝罪した。
◇
アスランはマハルーム基地での作戦会議が終了し、夕日の中歩いて帰る。すると、その夕日を見ながらひとり佇むシンを見つける。
「どうしたんだ、そんなところで?」
マーレに歩み寄ってやれと言われた言葉を思い出し、シンに話しかける。
「そちらこそ、こんなところでサボっていて、よろしいんでありますか?」
シンは不機嫌そうに、納得がいかない様子を見せながら言葉を放つ。それを見てハッとする。自分がマーレにした時の反応もこんな感じではなかっただろうか。
似ているな、と素直にそう思ってしまう。そうだ、多分似ているのだ。自分とシンは。兵士となった動機も、力を求める理由も、そしてこういった態度も。結局、同族嫌悪と言うか、人の振り見て我が振り直せと言った所だろうか。
「フフ、フックククッ―――」
「な、何いきなり笑ってるんですか!?」
顔を真っ赤にしながら突っかかって来るシン。ああ、やっぱりこういうところが似てるんだなとアスランは思う。
「いや、悪い。どうも俺にも反省すべき点があったって理解してな」
「―――え?」
「悪かったシン。俺もきちんと説明してやるべきだった。言葉が足りなかったみたいだ。シン、オーブで家族を殺されたといったが、そのとき力があればいいと思ったのか」
「はい」
「自分の非力さに泣いたものは誰でもそう思う。だが、その力を手にしたときから、今度は自分が誰かを泣かせるものとなる。それを忘れるな。勝手な正義をふるうだけなら、ただの破壊者だ。それは分かってるんだろ」
ニコルを、母を思い出す。自分も同じような事を思い、同じように行動した。
「それは……わかってます」
「それさえわかっていれば、優秀なパイロットだ。そうでなきゃ、ただのバカだがな」
少しだけ、彼らの間にあった距離が縮まったような気がした。
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