暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
番外ネタ その1 苦労して得た物はどんな下らない物でも素晴らしい
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、お宅らは家族で旅行?」
「家族じゃないっすよ。ただの付き添いみたいなもんっすよ」
「へぇ、それにしちゃ随分可愛らしいお嬢ちゃんだねぇ」

 男の目に映るもの。それは黒髪の男の隣で静かに寝息を立ててる少女であった。
 どうやら、少女にとっては満天の星空は最初はインパクトは強い物の飽き易いようだ。
 すっかり飽きてしまい眠ってしまっていたのだ。

「ま、良いや。それよりお宅らは何所の星に行くつもりなんで?」
「ハメック星」
「ハメック星? あそこ何も見るのないよ。たばこ畑しかないし。一体何しに行くの?」
「そんなの決まってるだろ? 煙草吸いに行く以外に何があるってんだよ!」
「ひぃぃ!」

 男が上ずった声を挙げた。其処に居たのは半ギレ寸前の土方だったのだ。
 そして、隣で寝息を立てていたのは無論の事なのはである。
 そう、二人は煙草を手に入れる為に広大な宇宙に繰り出したのであった。
 その間、土方の口からは表紙でどうのこうのとか、高校生だこうのどうのとか色々と愚痴っているのであった。

「上等じゃねぇか! 江戸で禁煙令が出たってんならその外で吸ってやる! 煙草がないなら原産地にまで取りに行ってやる! 喫煙者舐めるんじゃねぇぞぉぉ!」
「土方さん、五月蝿い」
「あ、すみません」

 散々騒ぎ立てたせいでなのはが起きてしまったようだ。目を擦りながら怒ったなのはに申し訳なさそうに謝罪する土方。
 余りにもシュールな光景であった。




     ***




 一面焼け野原が目に映った。
 此処が例のハメック星なのだろう。確かに何もなかった。
 観光スポットになりそうな代物もなければ旅館もない。観光には適さない星とも言えた。
 だが、今の土方となのはにはそんなのどうでもよかった。
 只、たった一箱の煙草を手に入れる。それだけの為にこうしてやってきたのだ。

「そうかそうか、わしらの煙草を吸いにわざわざお越し頂けるとは、嬉しい限りですじゃ」

 緑色の肌をした老人がそう言う。どうやらこの星の住人はそんな肌をしているのだろう。
 まぁ、そんなの関係ないのだが。

「じゃが、この星は悪の帝王ブリーザの手によって、焼け野原に変えられてしまったんですじゃ」
「元々焼け野原じゃなかったんだ、此処」
「お前は黙ってろ。今良い話してる最中なんだから」

 余計な事を口走ろうとするなのはをとめる土方。良いシーンが台無しになってしまうのを防ぐ為だ。

「煙草は、もう……」

 老人が懐から取り出したのは高そうな箱に収められたそれ一本限りであった。

「これだけなのですじゃ」
「随分大切に保管してるんだね。湿気ないのそれ?」
「だからお前は黙ってろってんだよ!」


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