DAO:ジ・アリス・レプリカ〜神々の饗宴〜
第二話
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赤にして叫んだ。
「さ、小波お姉さまがこうするようにと言ったのですっ!だ、だからこの格好は別に私の趣味とかそういうのでは……」
「へ?あ、いや……格好の話をしたのではなくね……?」
「へ?……はっはわわわわ……ご、ごめんなさい……」
彼女はけっこう希少なドジっ娘だ。ほかにも恥ずかしがり屋なところ等、おおきいおともだちが飛びつきそうな萌え要素を体現した存在ともいえる。
「ハクガはどうしてる?」
「最近は表に出れなくなってきて不機嫌です。小波お姉さまのVRワールドが完成したらもう少し改善されると思うのですが……」
「そうか。……あいつ、まだあんなものを……」
小波のVRワールド。
それは、恐らく、彼女が清文をわざわざロンドンまで引っ張ってきた理由だ。
彼女と共に《ボルボロ》を抜けた初期メンバー数人が巣食う時計塔の一画には、巨大な研究スペースがある。
小波はあそこに自分たちで巨大なVRワールドを想像しようと考えているのだ。
清文は恐らく、そのテストプレイを任されるのだろう。そして、ハクナの兄、ハクガも。
再びドアがノックされた。夕食の用意ができた、という大門のくぐもった声が聞こえる。
「わかった。……いこう、ハクナ」
「はい」
*
夕食会上は非常に広かった。長大なテーブルの最も奥の当主席には今は父ではなく小波が座り、清文はかつてと同じ、小波の右側の列の前から二つ目の席に。その右斜め前――――左列三席目にはハクナが座る。それ以外の十数の席は全て空席だ。
「じゃあまずは――――清文の帰宅を祝ってかんぱ―――――い!」
相変わらずの崩壊テンションで小波がグラスを突き上げる。しかし清文は無反応、ハクアもグラスをちょっと持ち上げただけだった。
「ん?相変わらずテンション低いね二人とも」
「当然だ。お前のテンションについてけるやつなんていねぇよ」
「ふ〜ん。そうかな?みんなもっと楽しもうよ」
小波はグラスの中の飲み物(何かはよくわからないが)を飲み干すと、嬉々として食事(豪勢なステーキがメインディッシュだ)にありつき始めた。
どうやら清文の最近の好物までも調べたらしく、清文の好きなモノばかりが並んでいた。しかしどうにも清文には食欲がわかなかった。
「…………」
「どうしたんだい、清文。なんか嫌いなの混じってた?だったらコックを抹殺するから遠慮なくいってよ」
「なんか怖いなそれ!……違うよ。けど、半分はあってるかもしれない」
清文は、一流のコックがつくったと思われるこの料理達を、どうしても好きになれそうになかった。
こんな完璧な、《完成された料理》より
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