七章 『氷の学び舎』
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せん」
沈黙を破って出てきたのは、明確な拒みの言葉だった。
だがザジはまたもや閉口し、少し考える素振りを見せた。何を考えているのかは分からない。しかし暫くすると、意を決したように再び口を開いた。
「ですが……魔界の太古の歴史をお調べ下さい。我々が行おうとしている事の片鱗は見えてくるかと思います」
どうやらカマをかけた甲斐はあったようだ。ザジは、アルが核心へ近付いてきていると思ったようだ。いずれ真実に辿りつかれるのならば、手掛かりを示す事で手を打とうとザジは考えたのである。つまりこれは、全てを話す事は出来ないザジとしての、最大の譲歩だった。
ネギが重要な役割を担うかどうかは分からなかったが、これ以上の事は話さないだろうとアルも判断した。ならばもはや長居する必要はない。あまり時間はないのだ。早急に麻帆良学園へ戻らなければならない。
「ありがとうございます。魔界の歴史について調べることに致します」
そう言うとアルは、ザジに背を向けた。
(太古の魔界の歴史・・・・・・スパーダ伝説よりも以前からとなれば骨が折れそうですね)
魔界の歴史の中にザジ達の計画を知るのに必要な情報があるらしい事。アルはその事について思考を巡らせながら、麻帆良学園へと歩を向けた。
アルの姿が見えなくなると、人知れずにザジは一人呟いていた。
「ネギ先生については――彼次第ですよ」
※
エヴァンジェリン達一行はログハウスを離れ、世界樹前にある広場に向かっていた。
というのも、世界樹前広場にいる悪魔が麻帆良学園を氷雪地帯に変えた原因らしいからだ。らしいとは、魔法先生達が話していた内容をチャチャゼロが盗み聞きし、そこからエヴァンジェリン達へ伝聞された情報だからだ。
さらに、世界樹前にいる悪魔が原因であるのかは魔法先生達の予想にすぎず、確証はない。つまり情報としては、極めて曖昧で信頼性は希薄と言わざるをえないものである。
だが彼女らの目的は、世界樹の力を利用して魔界への扉を開くことだ。そのため、当初から世界樹へ行く予定であり、世界樹前広場はその道中から離れていない。
そのため、ものはついでと世界樹前広場へと足を運んでいるのだ。それに肝心のアルが魔法世界からまだ戻っておらず、待っている状態でもあった。
(大雑把にでも聞いておくべきだったな)
エヴァンジェリンは口には出さずに、失敗を嘆いた。
世界樹を利用するとは聞いたが、そもそも世界樹は巨大である。具体的に世界樹のどこで、どのような術式を用いて、どのような手順を踏まえるのかなど、詳細は聞いていなかった。
せめて世界樹のどの場所で行うのか聞いていれば、そこをピンポイントに制圧出来るのだが、今更言ったところで後の祭りだ。
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