暁 〜小説投稿サイト〜
立派な魔法使い 偉大な悪魔
七章 『氷の学び舎』
[8/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
か?」

 ダンテをここに連れてきた理由。それは伝説の血を引くだけではなく、魔帝と対峙することができ、封印を施した実力を持っているからだろう。アルはそう考えていた。

「……」

 今度は、否定も肯定もしなかった。ザジはじっとアルを見つめている。それに構わずアルは続ける。

「彼は過去に、二千年の時を経て復活を果たした魔帝を再封印しました。ですが此度、魔帝がまたもや復活を果たした……まぁそれ自体は貴女の言うとおり造物主の仕業でしょう」

 さらにアルはダンテやムンドゥスの事に触れ、背後に造物主の存在があると言っていたザジの言葉に同意する。

「魔帝ムンドゥスの復活と、魔剣士の御子息を連れてきた事。それを鑑みれば、自ずと答えは出てきます」

 話のさなかにも、悪魔は次々と二人に襲い掛かってくる。だがザジとアルの二人は、魔法や爪を使い悪魔の攻勢を退ける。

「貴女の目的。それは魔帝の打倒、と言ったところでしょうか?」

 ザジは魔帝の復活のことを“厄介な事”と表現していた。さらにダンテを呼んだ事を考えれば、そう結論付けることができるだろう。

「あなたの言う通りですよ。私の望みは、かの魔帝を完全に討つこと。その魔帝の復活をいち早く察知したので、伝説の魔剣士の子息であり、自身もかつて魔帝を封じた彼に一報を入れたのです」
「しかしそれは貴女の、いえ、貴女方の真の目的ではない。違いますか?」

 ザジの答えは、沈黙だった。

「魔帝の打倒。それ自体は目的の一つでしょう。ですが貴女方には更に真の目的があるのでしょう。もっとも、真の目的そのものについては残念ながら推測の域を出ません。ですが貴女方の計画には、伝説の魔剣士の御子息と――ネギ君。彼ら二人が要となっている」

 アルが言っている内容は、推論と、判明している事実を繋ぎ合わせてそれらしく取り繕ったものだ。核心に迫ることは言ってはいない。ダンテがザジの計画の要所であろうことは、わざわざ彼を呼んだ事から明白である。だが、そこにネギも同様ではないか? とカマをかけたのだ。
 ネギを引き合いに出したのは、全くのデタラメという訳ではない。それなりに理由がある。
 母親であるアリカ・アナルキア・エンテオフュシアはウェペルタティア王国の最後の王女であり、『始まりの魔法使い』の末裔である。つまりネギも『始まりの魔法使い』の末裔であり、その血を引いているのだ。そして父親は言わずもがな、世界を救った英雄である。
 つまり彼はその身に命を宿したときから、大きすぎるほどの因果を背に負っているのだ。それもダンテと比較しても、何ら遜色のないほどに。
 ザジは未だ、沈黙を続けている。無表情の中にある紅い瞳は、ただアルを見つめている。

「我々の計画について、まだお話することは出来ま
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ